FTSE100の週終値は7234(前週終値比+123)
FTSE100は緩やかな上昇
FTSE100の日足チャートです。
週を通して見ると英ポンド売りが進行したことからFTSE100は上昇し、前週終値比で+123ポイントとなる7234となりました。
FTSE100と英ポンド米ドル・今週の振り返り
1月28日(月)に伝えられた英国関連ニュース
- ハモンド英財務相「合意なきEU離脱なら辞任する考えがある」
- レッドサム英下院院内総務「EU離脱案の通過に必要なら、EUから数週間の延長を与えられることは可能」
- ロワゾー仏欧州問題担当相「英国から離脱延期の要請が合った場合は考慮も可能」
- メイ首相、閣僚に対し非公式に合意なき離脱をすることはないとの考えを示す
- EU離脱代替案29日採決へ
- ブレイディ保守党議員「バックストップの修正案、英政府が支持すると期待」
- 下院特別委員会「合意なき離脱は英政府の方針にはなりえない」
この週も、週明けからEU離脱関連の情報が立て続けに舞い込みました。
EU離脱に関して、目下の論点は「離脱を延期するかどうか」「EUとの再交渉は可能か」の2点に絞られてきており、この点に関する関係者の発言が相次ぎます。
為替は全般やや英ポンド売りが進行しましたが、EU離脱関連の報道はそこまで材料視されることもなく、FTSE100もほぼ横ばいでの推移となりました。
29日(火)に伝えられた英国関連ニュース
- メイ首相、2月13日にEU離脱協定案の議会採決を行う方向で検討
- メイ首相、離脱案のうち最も問題視されている部分の修正を求める案を支持する意向か(ブルームバーグ)
- バーリー独法相「英国のEU離脱について、2度目の国民投票が実施される可能性が高まっているようだ」
- EU、域内景気悪化で英国との離脱協議再開に応じる可能性が高まっている(ロイター)
- メイ首相、EUに離脱合意案の再交渉要請へ(BBC)
- 英議会、クーパー労働党議員ら提出のEU離脱期限の延期を求める修正案を否決(一部報道)
- 英議会、合意なき離脱を阻止する修正案を承認(一部報道)
- メイ首相「合意なき離脱すべきでないことに同意」
- EU報道官「英離脱の延期を検討する用意がある」
- 英労働党党首、EU離脱を協議のためメイ首相と会談の用意
- メイ首相「EU離脱に関して超党派の協議望む」
30日4時過ぎになり、英議会でEU離脱の延期を求める修正案が否決され、さらに合意なき離脱を阻止する修正案が承認されたとの報道が伝えられ、英ポンド米ドルは短時間で100ポイント以上乱高下した後に下落するという荒っぽい値動きとなります。
FTSE100は材料が材料なだけに英ポンド安を好感せず、欧州時間序盤の上昇をキープするにとどまりました。
30日(水)に伝えられた英国関連ニュース
- 英下院、離脱協定再交渉を支持
- コービン英労働党党首、メイ首相との会談後「いまや合意なき離脱は選択肢から外れた」と発言
- 住宅ローン承認件数(12月)6万3793件(予想6万3100件)
前日売られすぎた英ポンドに買い戻しが入りFTSE100も序盤は苦戦しますが、その後は緩やかな上昇基調を回復します。
FOMC後の英ポンド売り、米国株上昇にもFTSE100はあまり反応せず、何を材料にしているのかよくわからない値動きが続きます。
31日(木)に伝えられた英国関連ニュース
- 英国の無秩序なEU離脱リスクが依然高い(ムーディーズ)
- ユンケル欧州委員会委員長「英国との離脱協定案の再交渉は行わない」
- バルニエEU主席交渉官「英国が離脱後めぐり考えを改めるなら、再交渉に応じる用意がある」
- バラッカー・アイルランド首相とメイ首相が電話会談で、バックストップを代替措置に置き換える案を可決したことについて、アイルランド側は「受け入れない」とした
アイルランド国境のバックストップ問題については、アイルランド首相が明確に「受け入れない」と発言することでもっと大きな反応があっても良さそうなものですが、為替も株もほとんど反応しませんでした。
アイルランド国境問題において、アイルランド自身は当事者でありながら、マーケットはメインキャストとは見ていないようです。
2月1日(金)に伝えられた英国関連ニュース
- 製造業PMI(1月)52.8(予想53.5)
- 英国の製造業部門は明確なりセッションリスクが見受けられる(マークイット)
この日はEU離脱関連の材料が一服となりましたが、18:30発表の製造業PMIが予想を下回る内容だったため英ポンドが売られ、週の安値を更新します。
FTSE100も「我関せず」とばかりに今週の緩やかな上昇ペースで値を上げて、前週終値比+123の7234での引けとなりました。
今週発表される英国経済指標
今週はMPC(英中銀金融政策委員会)です。
直近の指標が示す英国内経済は明らかに成長鈍化を示しており、ここにさらにEUのリセッション懸念までが加わる中、MPCがどのような見通しを示すのかが注目されます。
- 2月4日(月)…建設業購買担当者景気指数
- 5日(火)…英小売連合(BRC)小売売上高調査/非製造業PMI
- 6日(水)…MPC(英中銀金融政策委員会)
- 7日(木)…HBOS住宅価格/BOE(英中銀)政策金利/MPC議事要旨
配当と支払金利
2019年の配当利回り
2019/1/2〜2/1 | 受取配当 | 支払金利 | 差引利益(A) | 必要証拠金(B)※()内は前回 | A÷B |
---|---|---|---|---|---|
FTSE100 | 369円 | 790円 | ▲421円 | 26,000円(26,000円) | ▲1.62% |
NYダウ | 2,753円 | 5,163円 | ▲2,410円 | 80,000円(79,840円) | ▲3.01% |
日経225 | 170円 | 0円 | 170円 | 72,410円(72,410円) | 0.23% |
DAX | 0円 | 0円 | 0円 | 30,740円(30,770円) | 0% |
FTSE100は、ようやく2月の大型配当月です。
前半は配当額が小さいのですが、13日から(権利付最終日)は、毎週1,500〜2,000円程度の配当がありますので、配当利回りも一気に上昇します。
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あらゆる材料に反応が鈍いFTSE100
リスクオン相場でも上昇できないFTSE100の苦しさ
この週は、前週の下落分以上に上昇する動きとなりました。
前週の英ポンド高から一転、この週は英ポンド安が進行したことからのFTSE100上昇、と見ることもできそうですが、個別の値動きを見ると、そこまで高い相関性があるようにも見えない、というのが最近の不思議なところです。
離脱再交渉、EU側の姿勢に変化か
EU離脱に関しては、英国がEUに離脱延長を求めればEU側も承服するという暗黙の了解は既に成立しているものの、議会の現離脱案反対派を中心に、EUから再交渉を通じてさらに譲歩を引き出したいという思惑が明白であり、EU側もこれを嫌って「再交渉には応じない」という姿勢を鮮明にしていました。
ところが、ユンケル欧州委員会委員長はいまだに頑なな姿勢を保っているものの、バルニエEU主席交渉官は「英国が考えを改めるなら再交渉に応じる用意がある」という発言からも、その姿勢に若干の変化が見られます。
相変わらずアイルランド国境のバックストップ案については、驚くほどに何一つ進展が見られず、このままでは埒が明かないと見たEU側が、他の点で英国が大きな譲歩をするのなら再交渉に応じる、ということなのかもしれません。
また、一部報道にもあるとおり、EU域内での経済成長の鈍化が徐々に明確になる中で、ブレグジット問題をあまり長く引きずって経済に悪影響を及ぼしたくない、という現実的な要請もあるのでしょう。
「歴史は繰り返す」ということで、結局のところ今回も英国の「ゴネ得」となりそうな雰囲気が濃厚になってきたあたり、さすがは七つの海を支配した大英帝国、と感心させられます。
ところで、「歴史は繰り返す」というのはカール・マルクスの言葉なのですが、これには続きがあるのをご存知でしょうか。
「歴史は繰り返す。一度目は悲劇として。二度目は喜劇として。」
喜劇のロングラン公演として観れば、EU離脱をめぐる現状にも、諦めがつくかもしれません(?)
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