くりっく株365の仕様変更
今週いよいよ旧商品の上場廃止です
仕様変更が発表され、配当目的の半永久的な長期保有ができなくなってしまったくりっく株365は批判の的になっているようですが、今回の仕様変更が、投資家にとってメリットが一切ないわけでもありません。
そのうちのひとつが、NYダウの小口化です。具体的には、新しく上場された「NYダウ2021」は、従来のNYダウの10分の1の単位になりました。
これにともない、証拠金基準額も1枚あたり8千円前後となり、少ない資金でもNYダウに投資することが可能になったのです。
小ロット投資によるメリット
普通に売買するだけであれば、この小口化にそこまでのメリットは感じられないかもしれませんが、ナンピン発注により、複数のポジションを保有することが宿命のリピート系発注においては、非常に大きな朗報なのです。
例えば、ひまわり証券のループイフダンでくりっく株365の日経225を稼働させる場合、最大ポジション数を抑えて10本にしても、最低でも約125万円というかなり大きな手元資金が必要になることがわかります。
(以下、ひまわり証券のくりっく株365で口座開設すると使える「ループ株365」のデータを利用して解説します)

日経225直近半年間の運用成績
FTSE100でのループイフダンは現実的か?
そこで従来は、現在最も数値の小さいFTSE100でループイフダン運用を勧める向きもあるようですが、そのFTSE100でも、最大ポジション10本で約47万円と、かなりの金額です。

FTSE100直近半年間の運用成績
また、FTSE100はNYダウや日経225と比較して、取引時間が短い、スプレッドが大きいというデメリットがあるため、リピート発注向きかというと、決してそうではないというのが率直なところでした。あくまで、「くりっく株365の商品の中で、強いて選ぶならFTSE100」という位置づけだったように思います。
NYダウ2021とループイフダン
そこに登場したのが、小口化されたNYダウ2021です。
NYダウ2021であれば、B80(80ポイント値幅の買い)の最大ポジション数10本であれば、最低124,100円からループイフダンを稼働させることができます。
しかも、この一覧の「決算損益」からは、NYダウ2021の必要資金あたりのパフォーマンスが、FTSE100よりも数割程度高いことも見てとれます。

NYダウ2021直近半年間の運用成績
自動ではなく手動のループイフダンを選んだ経緯
感情に左右されず、基本的には初期設定さえしてしまえば、たまにチェックする程度でOK、というのがリピート系発注の最大の魅力ですから、ここまで見てきた情報を前提に、一刻も早くひまわり証券で口座を解説して、15万円くらい入金して、NYダウ2021のB80で投資を始めてしまおう、というのも一つの選択肢です。
しかし、また昨年のコロナショックのような急落が来ないとも限らないですし、どうせ口座の資金が吹っ飛ぶなら、初期の入金は少ないほうが良い、というのが今回の私の姿勢であり、10万円の初期投資で何とかならないか、と考えたわけです。
最大ポジション数は10本刻みではない
実は、ひまわり証券のループイフダンで設定できる「最大ポジション数」は、上の表の中では目安として10・20・30となっているものの、実際には自由に選ぶことができるので、10万円の口座資金でも、B80であれば最大ポジション8本程度なら稼働を開始することができます。
しかしこの設定では、80×8本、つまり640ポイントの下落が起こると、最初に建てたポジションが損切りされてしまう、ということになります。
NYダウは、ボラティリティの大きいことが魅力である反面、下落時のリスクもあり、1日で640ポイント以上下落することなど、それほど珍しくありません。そのたびに損切りされていては、短期だけではなく中長期の収支が悪化することは明らかです。
損切りについて
実際に、上でも見た「ループ株ランキング」の詳細データでNYダウ2021で、最も最低必要資金が少ないB80最大ポジション10本の過去半年間の損切り回数を見ると、実に67回も損切りされていることがわかります。

それでもトータルの終始が55万円を超えているという実績は驚異的ではありますが、1ヶ月あたり10回以上損切りされるというのも、なかなか精神的に応えるものがありそうです。
アイネット証券のFX版ループイフダンであれば、損切りをしない設定も可能なのですが、ひまわり証券のくりっく株365版ループイフダンには、残念ながらそのような設定はありません。
誤解のないよう付け加えれば、損切りのあり・なしは一長一短ですし、相場の動きによってはメリットにもデメリットにもなり得ますから、一概にどちらが良いとは言えないところではありますが、私はできれば損切りを避けたいと考えています。
やはり広い値幅で稼働させたいが…
ということは、損切りの回避を主眼とすれば、やはり値幅は大きいほうが良い、ということになります。例えば、B240の最大ポジション数5であれば、10万円の口座資金でも稼働を開始できるので、素直にスープイフダンの自動売買を開始することも、一つの選択肢だと思います。
しかし、いくらボラティリティの大きなダウとはいえ、240ポイントもの値幅であれば、新規も決済も、せいぜい1日に2~3回といったところなのに、わざわざ、それを自動売買にする必要はあるのか?という単純な疑問にぶつかります。
取引所取引であるくりっく株365は、スプレッドとは別に外付けの手数料がかかりますが、値幅が大きく取引回数が少ない240ポイント幅では、手数料はそれほど大きな問題ではありません。
「少ない資金でNYダウのループイフダンを始めたい」「損切りされたくない」
これらを実現するために、手動ループイフダンを始めることにしたのです。
しかし、ひまわり証券は、旧NYダウの手数料を片道147円(税込)に設定しており、単位がその10分の1であるNYダウ2021には、手数料もほぼ10分の1である15円(税込)としていますが、取引会社によっては、なぜかNYダウ2021だけ割高にするようなケースもあるので、よく比較する必要があります。
稼働開始から約2ヶ月経過時点での成績
3月7日時点の口座状況
そんなNYダウの手動ループイフダンですが、あらためて稼働条件を整理しますと、
- 開始時の口座資金は10万円
- NYダウ(2021)を「買い」の「240ポイント幅」で1本1枚発注
- 損切り設定なし
- 保有ポジションの上下2本を指値で発注しておく
稼働を開始したのは1月11日なので、3月7日現在、約2ヶ月経過時点での口座の状況が以下になります。

決済利益に含み損を考慮しても、16万2182円と、60%を超える利回りを出しています。
もちろん、過去2ヶ月の値動きが「やや上昇ぎみのレンジ、たまに1000ドルほど下落して戻す」という、ループイフダンにとっては、ほぼ理想に近いカタチだったことでの好成績であることは明白ですが、とくに危なっかしい場面もなく、機械的に指値を入れる作業だけでこれが実現できたのは、ひとつの成果ではないかと思います。
このまま継続して、口座資金が30万円ほどになった時点で、自動のループイフダンに切り替えるというのも、ひとつの選択肢だと思います。
リスク管理に配慮しつつ稼働を続け、不定期ではありますが、こちらで報告させていただきたいと思います。