新レバレッジ規制、年内にも
昨日からメディアでは、「FXのレバレッジ10倍規制・年内にも」という報道がされており、いよいよ来たか、という感じですね。報道を見るかぎりは、これまで言われてきた「店頭のみ10倍、取引所(くりっく365)は25倍のまま」という情報に関しては直接触れられていませんが、火のないところに煙は立たないと言いますし、10倍規制が言われ始めた時期に既にこの情報(店頭・取引所の区別)もくっついて流れていたことを考えると、セットで金融庁からリークされたと考えるのが自然ですし、有識者会議の流れを見ても、おそらく事前情報のまま現実化するでしょう。
店頭FXからの流出先は?
10倍規制が始まったら、投資家はレバレッジ規制のない海外FXに流れるのではないかとか、あるいはビットコインに流れるのではないか、などと言われていますが、くりっく365に流れるというのが最も多数派かと思いますし、金融庁の核心的な狙いがここにあることは疑う余地もないでしょう。
くりっく365と店頭FXを比べた場合のメリットは「公的取引所という漠然とした安心感」以外に何もなく、とくに広い上に変動性のスプレッドは、多くの投資家が批判するところです。それは仕方ないと考えるとしても、将来的にくりっく365もレバレッジ規制が変更になる可能性も否定できない、ということを指摘しておきます。それは同じく東京金融取引所の「くりっく株365」(取引所株価指数証拠金取引)の例を見るに、突然決定事項として変更が告げられるだけなので、今回の店頭FXレバレッジ規制のような議論もなにもあったものではありませんでした。参考までに、くりっく株365証拠金引上げの経緯を見ておきたいと思います。

今回のFXレバレッジ規制は、昨年9月28日の日経記事が発端、実行を今年の秋頃と仮定すると、それでも1年間程度のリードタイムはとられたことになりますが、くりっく株365の場合は、1月26日の発表からわずか10日後、さすがに批判が殺到したのか「2段階への引上げと最終引上げ期限の延期」に変更した後も、わずか24日後という、いずれにしても寝耳に水の対応が取られたのです。
くりっく株365の証拠金変更内容
商品 | 1月29日〜2月2日 | 2月5日〜2月16日 | 2月19日から当面の間 |
---|---|---|---|
日経225 | 46,870円 | 69,000円 | 96,000円 |
DAX | 23,570円 | 39,000円 | 54,000円 |
FTSE100 | 10,570円 | 23,000円 | 32,000円 |
NYダウ | 44,600円 | 76,000円 | 106,000円 |
くりっく株365は50倍程度のレバレッジが使えるのが魅力の一つでしたが、「需要の片寄り等」という曖昧な理由で、突如としてそれが25倍程度まで引き下げられたのです。くりっく株365は、口座数が10万件程度とFXに比べればユーザーも少ないのであまり騒ぎになりませんでしたが、FXでこれをやったら、大変な批判を浴びていたと思います。
しかも運悪く、2段階引上げ途中の2月6日にはNYダウ急落を発端とした世界同時株安があり、証拠金負担から含み損に耐えられず、強制ロスカットをされたユーザーも少なくなかったのではないでしょうか。証拠金が引き上げられた後も、配当が受けられるくりっく株365の魅力がなくなった訳ではありませんが、今回の証拠金引上げに関する一連のプロセスは、大いに問題があったと苦言を呈しておきたいところです。
くりっく365でも同じ事が起こる、というのはさすがに論理が飛躍しすぎだとは思いますが、東京金融取引所がそういう体質を持った組織であることを前提に、くりっく365への変更を検討することは重要だと思います。目先のレバレッジの差だけに目を奪われず、店頭FXのメリットについても引き続き目を向けていきたいものです。
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