モバイル端末の保険について検討してみました。

モバイル端末の保険は必要?不要?

初めてスマートフォンを壊しました

私は2011年からスマートフォンを使ってきましたが、落下などで壊したことがなかったため、破損による修理や買い換え費用が発生するリスクについては、わりと無頓着でした。

正確には無頓着というか、モバイル用の保険は保険料が高かったので(当時キャリア提供のもので1端末年間6,000円程度、しかも免責あり)、保険料を数年間支払うと新品のスマートフォンと同程度のコストになってしまうため、自分が数年に1回もスマートフォンを壊すだろうか?と考えた結果、壊れたら自腹で修理する(買い換える)という選択肢をとったのです

モバイル用保険の新しい選択肢

しかし昨今は、モバイル用の保険の選択肢が増えたので、コストとリスクのバランスを見直す必要があると感じていました。

(そう感じたときに保険に入ればよかったのですが、昨年、初めてスマートフォンを落下・破損させてしまい、保険でカバーされていないGalaxyを完全自腹で買い換えるという貴重な経験もしました・・・。)

現在の選択肢をざっと見てみると、

  • キャリア提供の補償制度
  • AppleCare+
  • モバイル端末専用の保険
  • アメックスのショッピング・プロテクション、ショッピング・プロテクション・ワイド

といったところかと思います。

他にも、MVNOや中古販売店が独自の保険を提供していることもありますが、対象となるユーザーがかなり限定的なので、ここでは省略します。

それでは、それぞれのモバイル端末向け補償制度のメリット・デメリットを見ていきたいと思います。

キャリア提供の補償制度

メリットは「手軽さ」「簡潔さ」

日本でスマートフォンが販売され始めてから存在する、いわばモバイル用保険の老舗になります。

正確には、「保険」ではなく「補償サービス」という位置づけのようですが、そこはあまり意識しなくても良いと思います。

メリットとしては、ドコモ・au・ソフトバンクというキャリアでモバイル端末を購入する場合に同時加入できるので、手間がかからないという点があげられると思います

したがって、忙しい、余計なことは考えたくない、という方は、キャリア提供のモバイル用保険一択になるのではないかと思います。

例えばドコモが提供する「ケータイ補償サービス」の場合、月額料金は330円〜1,000円(税別)とそれなりに高額であるものの、「水濡れや紛失、全損などあらゆるトラブルを補償」(ドコモウェブサイトより)し、補償の申込み当日〜2日以内に交換端末(リフレッシュ品)が提供されるというスピード感があります。

また、2019年9月からは、店頭での交換サービスも開始されたので、店頭交換取扱い店舗であれば、その場で交換端末を受け取ることができます。

特に仕事用のモバイル端末であれば、何日も使えないなどという状況は許されないと思いますので、このスピード感にコストを支払うという選択はありだと思います

補償が端末に紐付けられるデメリットも

一方で、老舗にありがち、というと語弊があるかもしれませんが、コストパフォーマンスや利便性の面で考えると、やや疑問であり、この点が最大のデメリットになるでしょう。

ケータイ補償サービスによる補償を利用する場合には、月額料金以外に5,000円〜11,000円(税別)の「負担金」が発生しますし、そもそもキャリアで販売しているモバイル端末にしか保証/補償がつけられないという点では、利用できる場面がかなり限定されてしまいます。

AppleCare+

修理が高額なアップル製品

iPad、iPhoneなどのアップル製品は、修理代金が高額であることで有名です

アップルは機種・故障内容に応じた修理代金をウェブサイトで公開しており、明朗会計である点だけは救いなのですが、iPhone11の画面割れで21,800円(税別)、iPhone11 Pro Maxでは35,800円(税別)と、もはやミドルレンジの新品スマートフォンが購入できてしまうレベルで料金がかかってきます。

これがAppleCare+に加入している場合、機種に関係なくiPhoneの画面割れは3,400円(税別)、最大容量が80%以下になった場合のバッテリー交換は通常5,400円(税別)〜のところ無料、というメリットを受けられます

こういったリスクをカバーするための保険であるAppleCare+はそれなりに高額で、iPhone11で16,800円(税別)、iPhone11 Pro Maxで22,800円(税別)と、モバイル端末価格の20%前後と高額な設定となっています。

補償期間の違い

また、ドコモのケータイ補償サービスは、加入している間はずっと補償の対象であるのに対し、AppleCare+は購入から2年間に補償期間が限定されいてる点で、かなりの違いがありますし、ドコモの補償が1年間で2回利用できるのに対し、AppleCare+は2年間で2回と少ない点にも注意が必要です。

紛失・盗難についてもどこものケータイ補償は標準でカバーしているのに対し、AppleCare+は2千円(税別)アップの「AppleCare+盗難・紛失プラン」に加入しなければ補償されないので、この点もデメリットと言えるでしょう。

両者で2年間の「保険料」に大きな差がないことから、ドコモのケータイ補償サービスとAppleCare+を単純比較すると、無償のバッテリー交換サービス以外にはAppleCare+に分がないように思われます。

今のところ、キャリアでのiPhone購入には回線契約が伴うので、端末だけを購入したいというニーズの場合にはアップルストアで購入するしかないのですが、購入にあたって補償を重視するのであれば、ドコモなどのキャリアで購入するほうがベターと言えると思います(ただし、auのキャリア補償はAppleCare+です)

モバイル端末特化の保険

モバイル端末補償の新しい選択肢

キャリアやメーカーによる補償サービスの料金がかなり高額であることから、近年は本業である保険会社などからリーズナブルな競合サービスが提供されはじめています

中でも、さくら少額短期保険が提供する「モバイル保険」は、月額保険料700円(非課税)、登録端末3台までと同種の保険の中でメリットが突出している感があります。

保険料が安価で「非課税」

複雑なプラン別の設定などがなく、保険料は月額700円と非常にシンプルなので、モバイル端末の購入とは別途の契約が面倒、というストレスを最小限におさえることができると思います。

また、消費税が10%に増税され、補償の本体価格の高額化にともなう税負担も重くなる中で、モバイル保険は保険料が非課税である点も大きなメリットと言えます。

対象となる端末が幅広い

モバイル保険の対象となるのは「無線通信ができる機器」なので、タブレットやスマートフォンはもちろん、ノートPC/Mac、スマートウォッチ、モバイルルーター、モバイル音楽プレイヤー、携帯ゲーム機、さらにはBluetoothヘッドフォンなどもすべて対象端末とすることができます

また、モバイル端末を買い換えた場合には、保険の対象を新しい端末に変更することができるので、補償のための料金を重複して負担せずにすむのもメリットです。

1契約で3台の端末まで補償

月額700円(非課税)と、キャリア提供の補償サービスと同水準の費用ながら、3台のモバイル端末まで補償対象の端末として登録でき、しかも年間10万円までなら何度でも補償を受けることができます。

ちょっと乱暴な計算ですが、1年間でモバイル端末を壊す確率を10%と仮定すると、1年間で2台の端末を壊す確率は「10%×10%=1%」であり、1台を壊す確率よりかなり低いにもかかわらず、1台1台のモバイル端末に個別の補償をつけることは、費用対効果の面で非常に効率が悪くなってしまいます。

その点、モバイル保険であれば1契約で3台のモバイル端末まで登録できますから、保険料を最小限におさえることができます。

ただし、3台のモバイル端末は、「1台の主端末と2台の副端末」という形で登録され、主端末は最大10万円まで補償されるものの、副端末は2台合わせて3万円が補償の上限となるので注意が必要です。

補償/保険利用時の負担金がない

キャリア提供の補償制度・AppleCare+ともに、モバイル端末の破損などで補償を利用したときの自己負担金が発生しますが、モバイル保険には、保険請求時の負担金がありません

ですから、落下させたときに生じたちょっとしたキズなどで、修理の見積もりを取ったら5,000円だった、というような場合でも、負担金を気にせず修理することができます。

過去に購入したモバイル端末や中古端末の一部も対象

キャリア提供の補償やAppleCare+が、新品のモバイル端末購入時や購入後30日以内に加入しなければならないのに対して、モバイル保険は、過去1年以内に新規取得が登録できるほか、中古端末であっても、国内メーカー製で販売店による3ヶ月以上の保証がついているモバイル端末であれば、補償対象として登録が可能です

ただし、中古端末の場合は、3ヶ月間購入時の100%の保証が受けられるものでなければ、モバイル保険の対象端末にならないので注意が必要です

これに該当する保証を提供する中古販売店はそれほど多くないのですが、イオシスは要件を充たしているようです。

CHECK!商品保証について(イオシス)

修理を依頼するお店が限定されない

キャリア提供の補償制度やAppleCare+で補償を受けたい場合、修理は原則としてキャリアの運営する店舗やアップルストアに持ち込む必要がありますが、モバイル保険の場合は、このような限定がありません。

自宅や職場の近くで、安く修理してくれるお店があれば、そのお店で直してもらって修理代金を支払い、後日モバイル保険に保険金として請求することができます。

モバイル保険による補償には年間10万円という上限がありますから、修理代金はなるべく低く抑えて、次回以降にプールしておくという計画的な使い方ができます。

 

このように書くと、モバイル保険にはメリットばかりのようにも見えますが、デメリットもあります。

契約が面倒

キャリア提供の補償制度やAppleCare+は、オンラインならカートに入れるだけ、店頭なら「入ります」と言うだけで、あとは料金さえ払えば補償されるのに対して、モバイル保険は別途申し込む手間があります

とはいえ、申込みはキャリア決済やクレジットカード払いを利用すればウェブで完結しますので、ネットでの買い物に慣れている方であれば、それほど大きなストレスではないと思います。

紛失が補償の対象外

キャリア提供の補償制度やAppleCare+が、有料オプションなど何らかの形で対応している紛失による損害ですが、モバイル保険では紛失や置き忘れの場合は補償されません

海外で発生した損害は補償の対象外

海外旅行や出張が多く、渡航先でモバイル端末を使う機会が多い方にとっては、これは最大のネックかもしれません

キャリア提供の補償制度やAppleCare+は、損害を国内に限定していないので、海外へ行く機会が多い方は、それらの補償や、後述するアメックスの「ショッピング・プロテクション・ワイド」を選ぶほうが無難でしょう。

高額なモバイル端末には補償が不十分

モバイル保険で補償される損害は、主端末であっても10万円が上限なので、iPhone11 Pro Maxなどのハイエンドモデルのモバイル端末を使っている場合は、まずそれで「枠」が埋まってしまいます。

そしてさらにMacBook ProやiPad Proも使っているというような場合、上限が2台で3万円の副端末扱いでは心もとないので、別途、新たにモバイル保険を申し込むということは可能ですが、「修理費用の保険金額が一被保険者あたり20万円」という別の上限があるため、どちらかの補償は事実上諦めなければなりません

ハイエンドにこだわるユーザーにとっては、ちょっと物足りないかもしれませんね。

結論としては、10万円前後のスマートフォンを使用中または購入予定で、過去にも落下などでけっこう破損させた経験がある方で、今後は小さな破損でも直しながらキレイに使いたい、というようなニーズのユーザーにとって、モバイル保険はベストな選択肢であると言えます。

モバイル保険

アメックスのショッピング・プロテクション

ショッピング・プロテクションとは

ここまで書いてきた補償制度とは、若干、レイヤーの違う選択肢ではありますが、アメリカン・エキスプレス・カードの「ショッピング・プロテクション」もモバイル端末に利用できる補償制度という点では共通します。

アメリカン・エキスプレスが発行するクレジットカードは、年会費が最低でも7,000円(税別/ANAアメックス)かかりますが、それを補って余りあるメリットが提供されています。

そのひとつが、「ショッピング・プロテクション」であり、アメックス決済で購入した品物(動産)に自動的に90日間・最大200万円または500万円を上限とした保険がかけられるというものになります。

モバイル保険同様に、置き忘れや紛失による損失は補償されませんが、国内外を問わず、発生した損害が対象である点では大きなメリットがあります。

他社のクレジットカードにも似たような制度はありますが、スマートフォンやタブレット端末の購入は保険対象外とされていたりする場合が多いのに対し、アメックスにはそういった制限がありません

自己負担あり

ショッピング・プロテクションで補償を受ける場合、1回につき1万円の自己負担が発生しますが、有料オプションである「ショッピング・プロテクション・ワイド」に申し込むことで、この負担金は後日「見舞金」として返金されるため、実質ゼロにすることができます

保証期間が短い

基本サービスとして提供されるショッピング・プロテクションでは、購入から90日間しか保証されませんが、有料の「ショッピング・プロテクション・ワイド」に申し込むことで、保証期間を購入から1年間に延長することができます

ショッピング・プロテクション・ワイドは最強ではないだろうか

つまり、アメックスの有料オプションである「ショッピング・プロテクション・ワイド」は、ハイエンドモバイルを複数使うユーザーにとっては、とても心強い保険であると言えます。

補償期間が1年と短いのが唯一とも言える弱点ではありますが、私はこれを理由に、1年に1回はモバイル端末を買い換えるようにしています。

最近のハイエンド端末は何年でも使えるスペックのものがほとんどですが、やはり最新機種を使っている満足感は特別なものがありますし、

「モバイル端末のための保険ではない」というメリット

この記事では、モバイル端末の保険ということで書いてきましたが、ショッピング・プロテクションやショッピング・プロテクション・ワイドは、モバイル端末に特化した保険ではなく、あくまで「モバイル端末にも利用できる」保険です

つまり、決して安いとは言えないアメックスの年会費や、ショッピング・プロテクション・ワイドの保険料も、アメックスで購入する(ほぼ)全ての品物が対象になるということです

ほとんどの品物が対象になるので、対象外のものをリストアップするほうが早く、

  • 有価証券、旅行者用小切手、あらゆる種類のチケット、譲渡可能な証書類、現金あるいはそれに準じるもの
  • 動物あるいは生きている植物
  • 自動車、オートバイ、モーターボート、航空機、ヨット、船舶

だけです。

他社のサービスでは除外されていることが多い、自転車やコンタクトレンズ、または他人へのプレゼントなどもすべて補償の対象となっていることは驚きです

このショッピング・プロテクション・ワイドの保険料は、年会費とは別途にかかり、保険料が年間5,000円で補償限度額が200万円のものと、1万2000円で保証限度額が500万円のものがありますが、よほどたくさん買い物をする予定でなければ、安いほうのプランで十分かと思います。

こちらからアメリカン・エキスプレス・カード・グリーンに申し込むと、最大17,500ポイントを受け取ることができるので、よろしければご利用ください。

まとめ

モバイル端末の保険に入らないというのも有力な選択肢

補償の幅広さと補償限度額の高さという点では、アメックスのショッピング・プロテクション、ショッピング・プロテクション・ワイドが圧倒的に優位ですが、年会費がかかるクレジットカードの入会が要件となるため、手軽さで選ぶならキャリア提供の補償制度のほうが良いでしょう。

また、モバイル端末1台あたりの補償コストを重視するのであれば、モバイル保険を選ぶのが良いと思います。

いずれにしても、モバイル端末用の補償制度には、1年間に1〜2万円程度の保険料(補償サービス費用)がかかり、10年間で10〜20万円、50年間では50〜100万円というコストになります。

10年や50年で考えた場合に、その間に果たして数十万円分の修理費用がかかるほどモバイル端末を壊すだろうか?と冷静に考えてみると、ほとんどの方はこれに該当しないはずです。

ですから、補償サービスは利用せず、保険料(補償サービス費用)として払おうとしていた金額を「つもり貯金」のように、そのまま貯金しておき、壊したときにはそこから払うという選択肢もなくはないと思います

それでも、一時的な出費というのは精神的に大きなストレスになりますから、安心を買うという意味でモバイル端末の補償サービスを利用する、と割り切れる方にとっては、どのサービスであっても、メリットをもたらしてくれるでしょう

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

ABOUTこの記事をかいた人

FXと節約を組み合わせた記事を書いています。 元会社員、元会社経営者にして元浪費家。現在はフリーランスで生計を立てています。もっと早くお金の正体に気づいておけばよかったな〜などと後悔しながらも、あとの祭り的人生をそれなりに楽しんでいます。