2016年8月3日に日本でもローンチされたAmazonの月額980円電子書籍読み放題サービス「Kindle Unlimited」は、スタート直後からユーザーの酷評が目立ち、そのせいか、いまいち流行っている感がありません。私も様子見勢だったのですが、何かの操作を間違ったのか「30日間無料体験」に登録してしまったようなので、せっかくですし、サービス開始から約1年が経過した現在のUnlimitedを体験してみることにしました。
Contents
評判が悪い点
- 最新刊が少ない
- 読んでいた本が突然Unlimited対象外になる
- 個人出版が多すぎる
- Unlimitedなのに同時に読めるのは10冊
- Unlimited対象本の検索がしづらい
こんなところでしょうか。ひとつずつ検証していきます。
「最新刊が少ない」

Kindle Unlimitedのトップページには、「新着タイトル」というカテゴリは存在するのですが、書店に平積みしてある新刊のようなイメージとは程遠いラインナップになっており、レンタルDVDで言うところの「準新作」あたりが多くなっています。また、最新刊ではなくても、普通に売れるような人気作家などの本はラインナップから外されています。また、過去の雑誌とか、健康関連の本がやたらと多いです。
あたりまえですが、普通に売って1,000円以上も取れるような最新刊を980円の読み放題で提供するなどということはあり得ないので、この点ははじめから割り切ったほうが良いですし、この点だけは、今後も絶対に変わることはないと思われます。
「読んでいた本が突然Unlimited対象外になる」
これは、Amazonが初期の見込みを誤り、Amazonから出版社への支払いが短期間で想定外の金額にのぼったことが原因のようで、サービス当初は頻発したようです。最近になって、こういった悪評はあまり見なくなりましたし、少なくとも私自身が利用している中では、突然Unlimited対象外になるということはありませんでした。
「個人出版が多すぎる」
これは事実ですし、現在も変わっていません。公称12万冊以上のUnlimited対象ですが、私が見た感じでは、少なく見ても2〜3割は個人出版ではないかと思います。失礼ながら、個人出版は時間をかけて読むようなクオリティの本はほとんどないので、読まなければいいのですが、読みたい本を検索するときにノイズになるので困るのです。
ダウンロードして開いてガッカリ、という事態はできるだけ避けたい、ということで、個人出版の見分け方のポイントとしては、「表紙が安っぽい」「タイトルがセックス関係」「販売価格が安い(99円など)」というところなのですが、最近はこの見分け方を意識してか、表紙もそれなりのデザインで、価格も出版社と同水準に設定しているものも散見されます。
個人出版は、ダウンロードして数ページ読めばAmazonから作者に報酬が支払われるシステムなので、とにかく表紙とタイトルで興味を引くように作られています。こればかりは、ユーザーが選球眼を磨くか、あるいはさらに評判が悪くなってAmazonが個人出版を排除するかするまでイタチごっこが続きそうですが、現在のところ、Unlimited全体としての質を貶めていることは間違いないと思われます。
「Unlimitedなのに同時に読めるのは10冊」
何冊も同時に読み進める読書スタイルの方には不便なのでしょうが、私はとくに問題を感じませんでした。もし10冊いっぱいになって、どれかを削除しなければならないとしても、多少時間はかかるけど、またダウンロードすればいいか、くらいです。
「Unlimited対象本の検索がしづらい」
これは、現在もしづらいです。一番意味がわからないのが、PCのブラウザで検索した場合で、例えば「iPhone」でKindle本を検索すると、左のメニューに「Kindle Unlimited読み放題」の絞込みメニューが出てくるのに、

「Mac」で検索すると、「Kindle Unlimited読み放題」の絞込みができないという謎仕様です。

なにかAmazon側の意図があるのかもしれませんが、これはあまりにUIを悪化させていますし、すぐにでも仕様を変更できるはずなので改善してほしいところです。
PCのブラウザの他にも、Kindle端末やKindleアプリ内の「Kindleストア」で検索する方法もあり、こちらは常にKindle Unlimited絞込みができるので、とりあえずはこちらのほうが使いやすいですね。
結論
Kindle Unlimitedは進化した立ち読みサービスである
一冊一冊にお金を出して買う本はどうしても自分好みの本になってしまいますが、普段は読まないような本を読んで知識や視野を広げるという目的なら、良いサービスだと思います。
例えば、Unlimitedには、「○○するだけで痩せる!」系ダイエット本や、「○個の単語で話せる!」系英会話本なんかも多いわけですが、普段なら絶対に手を出さないこの手の本も、「どういう心理でこういう本に騙されるのか」という視点なら、読んでみる価値もあるかもしれません。それはまさに、「立ち読み感覚」なんですよね。
書店に行かなくても立ち読みができるサービスに月額980円を出すかどうかは、忙しさや個人の価値観によると思いますが、私は、料理本がけっこう多いというややニッチな理由で、有料期間になっても、しばらくは継続してみても良いかな、などと思っています。
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