賃貸物件を探すなら、入念に調べましょう。「インターネット無料」賃貸住宅の落とし穴にはまった体験談。

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「インターネット接続無料」賃貸物件が増えています

なぜ「インターネット無料」物件が増えるのか

私は完全な賃貸派なのですが、部屋さがしのとき、慎重に検討せざるを得ないのがインターネット環境です。自宅で仕事をすることが多いので、インターネット接続に問題があるようだと支障がでますし、動画のストリーミング配信を利用することも多いので、できればストレスない速度で利用したいところです。

とくに単身向け賃貸住宅だと、自宅にいる時間も限られているでしょうから、わざわざ光回線を契約するのももったいないと感じる方が多いようで、賃貸住宅の人気設備ランキングでは、「インターネット無料」が常に上位にランクインしています。

順位単身者向け物件ファミリー向け物件
1位インターネット無料(1位)インターネット無料(4位)
2位エントランスのオートロック(2位)追い焚き機能(1位)
3位浴室換気乾燥機(3位)エントランスのオートロック(3位)
4位ウォークインクローゼット(4位)ホームセキュリティ(7位)
5位ホームセキュリティ(5位)システムキッチン(2位)
(出所:全国賃貸住宅新聞(2016年)、カッコ内は前回順位)

日本は基本的に住宅あまりの借り手市場ですから、不動産オーナーとしては当然、空室のリスクを避け、できれば家賃も多少は上乗せ可能な設備を導入するのは当然です。そこで、新築の収益物件であれば、かなり高い確率で最初からインターネット設備を導入していますし、古い物件でも同ランクの物件に少しでも差をつけるために導入するケースが増えています。

ここで注意が必要なのは、オーナーが入居者向けのインターネット設備を導入するのは、収益性を高めることが目的、つまり設備欄に「インターネット無料」と「記載すること」が目的なのであって、回線の品質などは二の次どころか、まったく考慮されていない、という点です。

それ「無料」じゃないでしょ

「インターネット無料」の意味するところが「別途光回線契約の必要がなく、部屋のLANにケーブルを挿すだけで(あるいはWi-Fi)インターネットが使えますよ」を端的に説明するもので、特別な悪意があるわけではないことはわかります。しかし、設備にかかるコスト(小規模物件でも数十万円〜100万円程度)やISP料金(全戸で2〜3万円程度)はオーナーが負担しているわけですから、常識的に考えて、このコストが家賃か共益費に転嫁されていることは明白です。

だって、「ユニットバス利用無料」「バルコニー洗濯物干し無料」「エレベーター利用無料」とは書かないじゃないですか。当然、家賃や共益費にコストが反映されているというのが契約当事者の共通認識だからですよね。そんな揚げ足を取るな、と言われそうですが、この「無料」表記が入居者にとってデメリットになる場合があり(後述)、私はかなり問題がある表記だと思っているので、あえて先に触れておきました。

「インターネット無料」に潜むリスク

回線の品質が入居するまでわからない

賃貸住宅の場合は、仲介業者を通して内見してから入居を決める、という流れが一般的かと思いますが、部屋の設備はチェックできても、インターネットの速度や品質まではわかりません。予防的な解決方法としては、仲介業者に、はじめから自分にとってインターネット環境が重要であるという事情を説明しておいて、内見のときにノートPCを持ち込んでスピードテストをしてみる、ということはそれほどハードルが高くないかもしれません。

しかし、「インターネット無料」をうたうマンションやアパートのインターネット設備のほとんどは、全戸で1本の光回線をシェアしますから、1Gbps回線を引き込んでいても、時間帯によっては遅くなることが少なくありません。どうせ内見のときにスピードテストをするなら、インターネットが混雑しがちな時間帯(19時〜0時)で仲介業者にお願いしてみるという手はありそうです(イヤな顔をされるとは思いますが…)。

それで満足できるスピードだったとしても、自分より後から入居してくる入居者が、やたらと通信量の多いオンラインゲームやストリーミング再生を利用する人ばかりだと、全体に速度が低下しますから、これに対して為す術はありません。他にも、入居してからインターネットの品質や速度が下がる要因は少なくありません。実は現在、私がこのケースが該当しており、入居時は上り下りとも50Mbps程度出ていた速度が、平日夜間と土日祝日は、下りのみ0.1Mbps程度まで下がるようになってきました。はっきり言って、使い物になりません。それ以外の時間帯は50〜100Mbpsなので、設備ではなく明らかに回線の問題であることがわかります(左が平日夜、右が平日昼)。

原因の特定は事実上不可能

私のケースでは、速度が遅くなる時間帯は19時〜翌2時とほぼ決まっており、2時になると急に速度が回復することから、入居者の利用状態が原因ではないと思います。その原因なら、時間や速度に多少のバラツキが出るのが自然ですから、毎日、ハンで押したようなリズムで変動するとは考えにくいのです。

平日昼間の最高速度から考えて、物理的な設備の問題でないことは明らかですし、おそらくISPの問題であろうという推理は成り立ちます。自回線のIPを調べると、やっぱりか、という感じで評判の悪いSo-netを介しているようなのですが、So-netと私の間には契約関係がないので、調査や改善要求など、何ら措置を講じることができません。

どこに問い合わせるか

私としては、契約関係のある契約仲介業者か、あるいは指定されている接続業者に問い合わせるかの二択になります。入居時に、「インターネット接続に関してはこちら」という感じで問い合わせ先が指定されていることも多いのですが、これはだいたいマンションにインターネット設備を導入した業者であって、接続のトラブルなどがあったときに、入居者の話を聞いて、オーナーに問い合わせが行かないようにするために対応しかしないことがほとんどです。

ダメモトですが、両者にそれぞれ状況を話して改善を打診してみたところ…

契約仲介業者「インターネットは無料設備なので・・・」(←途中から聞いていない)

業者「ブロードバンドはベストエフォートなので・・・」(←途中から聞いていない)

そうです、ここで「インターネット無料」をうたっていることの、入居者のデメリットが出るのです。部屋の設備が通常使用に耐えない、ということなら、入居者としては契約を根拠に修繕や交換を要求することが当然に可能ですが(民法606条1項)、「無料」を根拠にこの義務を拒んでくるのです。

比較として、例えばエアコンの故障や水道・ガス・電気設備の破損などが典型例ですが、賃貸住宅の場合は、入居者がよほど酷い使い方をしていないかぎりは、当然にオーナー負担で修理してくれますよね。これはオーナーの厚意ではなく、法律上の義務だからそうしているのです。これを、なかなか修理してくれない場合で、実際に入居者が物件を通常利用できないほどの支障があれば、事実上の督促手段として、入居者が家賃の支払いを部分的にストップする(抗弁権)ことまでも裁判例が認めています(排水管閉塞の例として東京地裁平成7年3月16日判決など)。

インターネット接続に関してオーナー側の修繕(改善)義務、しかも「無料」という表記が妥当かどうかという点で争った裁判例は今のところ見当たりませんが、インターネット無料を信じて入居したが実際にはまったく使い物にならない、というようなケースもあるように思います。そのような場合でも、入居者は家賃や共益費としてインターネット利用料を間接的に支払い続けなければならないわけで、消費者問題としても決して小さくない論点かと思います。

あきらめて別回線を検討

「インターネット無料」物件であるがゆえの障害

さてさて、不毛な交渉が嫌いな私、かといってこれを理由に転居するほどでもない(何より引っ越しがめんどくさい)ので、渋々インターネット接続料金の実質二重払い(「無料」の間接負担分と新回線)を承服しつつ個別の光回線導入を検討するわけですが、フレッツのサイトでエリアを調べると・・・

 

あれ・・・。入居時には個別の光回線契約も可能と聞いていたのに、ステータスは「予約受付中」。auひかりやローカル系光回線業者もサービスエリア外。NTTに電話で問い合わせると、「所有者の方がLAN配線以外されなかったようです」「戸建てタイプも、お住まいの階が高すぎて届きません」との死刑宣告。

どういうことかというと、マンション内の各部屋にインターネット回線を敷く方法としては「光配線方式」「VDSL方式」「LAN方式」の3種類があり、簡単に言うと建物の回線入り口から各部屋までを光ケーブルでつなぐのが「光配線方式」、既存の電話回線を流用するのが「VDSL方式」、会社や自宅のLANネットワークがそのままマンションに流用された使い方が「LAN方式」ということになります(詳細はフレッツ公式をご覧ください)。

そして、ほとんどのマンションでは工事期間やコスト的なメリットから、マンションまでは光回線で、マンション内はVDSL方式で各部屋まで回線を行き渡らせています。私のケースでは、入居時にLAN方式が採用されていることはコネクタがあるので目視で確認できるのですが、VDSL方式が導入されているかどうかは見た目ではわかりません。そして今になって、この工事が未実施であることが確定したというわけです。

まあ、オーナーにしてみれば、「無料インターネットを導入したので、他の回線はいらないだろう」という判断になるのは理解できます。でも、そのインターネットが0.1Mbpsだったら、いったいどうしたらいいのか…。前述のとおり、オーナーの基本姿勢は「無料ですから」、もっと言えば「知ったこっちゃない」というところでしょう。これが原因で悪評が立って空室が増える、などという事態にでもなれば、さすがにオーナーも重い腰を上げるでしょうが、いまや賃貸マンション運用もそこまで儲かるビジネスではないので、基本的には「やらずに済むことはやらない」という判断になってしまいます。

実質WiMAX一択

こうなると、選択肢としてはモバイル回線しかないのですが、固定回線の代替として従量制の利用は論外ですし、かといって事実上、容量無制限のモバイル回線というものは存在しません。容量無制限をうたっていても、3日間制限があったり(WiMAX)、時間帯による速度制限があったり(SoftBank Air)、はじめから超低速であったり(UQmobile、U-mobile、DTI simなど)と固定回線の代替にはなりえないスペックです。

SoftBank Airは時間帯制限がかかっても5Mbps程度は出るという報告も多いのですが、価格がルーターレンタル料を含めると月額5,000円程度と光回線より高額であり、そこまでの価値は見いだせないと思います。

ということで、固定回線の代替としては、料金が月額3,000〜4,000円で、「3日間で10GBを超えた日の翌日のネットワーク混雑時間帯(おおむね18時〜翌2時頃)」で制限がかかっても1Mbpsは出るというWiMAX2+のギガ放題くらいしか選択肢がないと思われます。「3日間で10GBなんて使わない」という方も多いようですが、私の場合は計測してみると1日で10GBくらい使っているので、余裕で制限の対象になりますから、速度制限は常にかかるという前提で考慮しなければなりません。

固定代替なら必ず事前にTry WiMAX

WiMAX回線は電波の回り込みが悪く、提供エリア内でもピンスポットで電波状態が非常に悪い場所があります。モバイル利用なら多少移動して使用するなどの方法もありますが、固定代替だと、自宅のどの部屋でも電波が弱かったり、最悪は圏外だったりすると為す術がありませんから、必ず無料おためしサービスである「Try WiMAXレンタル」を利用するべきだと思います。

私の場合は、部屋の電波状態の確認のほかにも、1Mbpsが固定代替としてどの程度使えるのか試してみたかったというのもあります。結果としては、

「電波強度は問題ない、でも1Mbpsは使えない」

スピードテストすると、たしかに0.9Mbpsくらいは出ているのですが、体感としては0.1Mbpsとあまり変わりません。というか、むしろ快適性はやや下がっているような。回線の品質としても、電波は強いのですが、ごくたまに途切れるようで、FXのリッチクライアントが落ちることもあります。これでは、わざわざ別回線にする意味がありません。

こうして結局は、泣く泣く既存の「平日夜、土日祝日は0.1Mbps」をそのまま利用し、かつ、低速の時間帯にどうしても高速通信が必要な場合はドコモ回線のテザリングを利用する、という方法を採ることにしました。非常に不本意ですが、私に何も落ち度がなかったかというとそうでもないので、まとめでその点も考察したいと思います。

まとめ

「インターネット無料」は「インターネット接続料込」である

きちんと対価を支払う前提であれば、事前にその品質を確認するのは当然の権利です。部屋を内見するときには、遠慮せずにスピードテストもさせてもらいましょう。その際も、できれば一般的に混雑する平日夜間に合わせるのがベターです。でも、夜は部屋にとって重要な日当たりなんかが確認できませんから、それはそれで日中にもう一度見せてもらう図々しさも必要かと思います。

LAN以外にVDSL設備があるか確認する

仲介業者に聞くのが一般的ですが、私のようにウソを答えられることもありますので、NTTに問い合わせるのが確実かと思います。私は、この「NTTへの問い合わせ」を怠ったことが、今になってとても後悔されます。

「光難民」になるとけっこう大変

私自身、いざとなればモバイルもここまで普及しているし、WiMAXもあるし…などと、固定回線の問題を軽く見ていたところがあります。入居した後に徐々に速度が遅くなる、などという問題は誰にも予想できませんから、そうなってしまったときの仕事やプライベートのイメージはしておくと良いと思います。

例えば、無理に自宅に別回線を引くことを考えるよりも、近所のカフェや図書館などで仕事ができるし、それが苦にならないというならそれも一つの解決策ですし、それなら速度が遅い時間帯は動画のストリーミングをやめて読書にあてる、などという解決方法もあるかと思います。

賃貸物件は他人の物なので、管理の心配をしなくて良い一方で、こういった細かな自由がききづらいというデメリットは、大きな意味で「含み損」として受け容れるべきなのかもしれませんね。でも、やっぱりけっこうストレスです。皆さんは、私と同じ失敗はされませんように。

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ABOUTこの記事をかいた人

そうたろう

FXと節約を組み合わせた記事を書いています。 元会社員、元会社経営者にして元浪費家。現在、事業の失敗で背負った借金をせっせと返済しながらひっそりとフリーランスで生計を立てています。もっと早くお金の正体に気づいておけばよかったな〜などと後悔しながらも、あとの祭り的人生をそれなりに楽しんでいます。