ループイフダンとFXの新レバレッジ規制(25倍→10倍)について。

日本経済新聞による報道

9月27日の夕方、日本経済新聞電子版が報じた「FX証拠金倍率の上限下げへ 金融庁検討、最大25倍から10倍に」というニュースに、FX関係者には衝撃が走りました。FX取引会社等にも事前に根回しされず、金融庁が日経新聞を使ってリークしたようで、その後は確たる続報がなく、憶測ばかりが広がる状況です。

参考になる情報としては、マネーパートナーズグループが本件につき金融庁に確認した内容をプレスリリースしており、それによれば、

(1)証拠金倍率引き下げについては、個人投資家保護や金融庁が想定外の損失を被るリスク等の観点から様々な議論があるのは事実である。

(2)証拠金倍率の引き下げを行なう場合は、業者や業界に働き掛けて意見を聞き、手順を踏んで行うものであり、金融庁が一方的に行うということはない。

というもので、雰囲気としては、「ああ、形だけはFX業者の意見を聞いて、レバレッジ規制は本当にやる気なんだな」という印象です。「業者や業界に働き掛けて意見を聞き」などとありますが、銀行行政を見ると、金融庁ほど民間を軽く見る省庁はないというくらいで、ほぼ独裁といっても過言ではありません。若い方はご存知ないでしょうが、1990年3月27日に、大蔵省銀行局(金融庁の前身)局長の土田正顕氏が突如、銀行に対して不動産融資の総量規制を「行政指導」し、不動産バブル崩壊のトリガーを引いてから日本の景気は極端に悪化し、四半世紀以上が経過した2017年の今でも完全には立ち直っていません。現在も、銀行に対して様々な「検査」や「指導」をおこなっており、内容はいずれもピントがずれているものが多く混乱を招くことが多いのですが、それでもエリート集団である金融庁は無謬性モンスターですから、決して行政の失敗を認めません。選挙を経ているわけでもなく、難関とはいえ「公務員試験に受かっただけ」の彼らに、そこまでの知識や権限があるのか、私は常日頃から疑問でなりません。

話が逸れましたが、金融庁は、やると決めたらやる官庁であり、それが正しいかどうか、実効性があるかどうかはあまり彼らの興味事項ではないということです。やると決めたらやる。一部では、「そんな規制よりFX取引会社にゼロカットを義務化すべきだ」だとか、「50倍から25倍に規制を強化しても、追証の問題は起こっているじゃないか」という批判もありますが、もともと、そんなことは金融庁の興味事項ではありません。FX取引会社は、もともと監督官庁である金融庁には頭が上がりませんし、おそらくFXのレバレッジは、しかるべき時期に10倍に規制される、という認識で良いかと思います。

ループイフダン運用への影響

一部では、「レバレッジ10倍以上で取引している投資家は少数で影響は限定的」などというコメントも見られますが、実際にはレバレッジが25倍だから安全を考えて10倍以下で運用しているのであり、因果関係が逆です。10倍以下で取引している投資家も、レバレッジが10倍上限になれば、実際にはロスカットを避けて3〜5倍で取引することになるでしょうから、やはり影響は大きいと言わざるを得ません。

とくにループイフダンは、その性質上、常に含み損を抱えながら運用することになるので、レバレッジ規制の影響は大きいと思われます。参考までに現在の私のループイフダンを見ると、口座資金210万円に対して評価損が33万9000円。口座維持率は440%で、実行レバレッジは5.7倍です。2017年の米ドル円レンジである107円〜118円で動いている間は大きくレバレッジは変化しませんが、現在の資金でレンジを外れると、やや10倍規制が心配になります。

ループイフダンのロスカットルールは、証拠金維持率が100%を下回った場合、即時に全ポジションが強制決済されるというものです。一旦アラートメールなどで警告して、NYクローズで強制決済という取引会社も多いのですが、ループイフダンの場合は一瞬でも100%を下回らないよう、ある程度余裕のある資金を入れておくか、稼動する仕掛けを減らしてポジション調整する必要がありそうです。いずれにしても、資金効率が大幅に低下することは避けられないと思われます。

対応策1:資金の追加・ポジション数調整

これができれば苦労はしません。

対応策2:法人の設立

法人はレバレッジ規制が個人に比べて緩く、2017年からは規制の対象になったとはいえ、いまだ取引会社により50〜100倍程度のレバレッジがかけられます。しかし、合同会社の設立だけでも20万円前後、赤字でも住民税の均等割が7万円、他に税理士費用の負担や、サラリーマンの場合は会社に知られると居づらくなる、などの弊害もあるので、基本的に兼業トレーダーには非現実的な対策かと思います。

対応策3:ループイフダンは諦めて海外FX取引会社に口座を開く

海外FX取引会社はレバレッジフリーのうえに原則としてゼロカットですから、システムだけを見れば本来、多くの投資家にとって理想的です。多くの海外FX取引会社がMT4を採用していることから、ループイフダンと同様のシストレを稼動させることも、それほど難しくないでしょう。しかし、一旦トラブルになった場合を考えると、個人ではほぼ対応不能と割り切る必要があり、とても多額の資金を預ける気にはなりません。

対応策4:両建ての活用

既にループイフダンを稼動させており、資金の追加もポジション数の調整も難しい場合は、両建てを活用することで、ある程度はレバレッジ増加をコントロールできます。ループイフダンは、両建ての場合にロング・ショートいずれか大きい方のみ証拠金がかかるというMAX方式を採用しています。ですから、レンジを外れて下落しているような場合に、ロングで持っているポジションと同数あるいは同数に近いショートを入れることで、とりあえずそれ以上の損失拡大は防ぐことができます。さらに、ある程度下落が底を打ったと判断したときにショートを決済すれば確定利益が得られますので、一石二鳥の手法とも言えます。ループイフダンのスプレッドは米ドル円で2銭、豪ドル円で4銭とかなり広いのですが、MAX方式のメリットを考慮すれば致し方ない出費と考えるべきでしょう。

ただ、下落と判断した場面で急にトレンドが上昇に転じて、サルベージのつもりで入れたショートが思いっきり踏まれるというリスクもありますので、必ずストップロスを設定することも重要かと思います。

対応策5:FXはあきらめて他の投資に資金を回す

現実問題として、私の場合はこれになりそうです。例えば、こちらのブログでも掲載している「くりっく株365」の日経225では、3万4180円(10/2〜10/6)の証拠金で、約200万円相当の取引が出来ているので、レバレッジは約60倍です。過去のFXレバレッジ規制で、くりっく株などのCFD(差金決済取引)商品も同時に規制を検討する、という動きはとくに見られなかったことから、今回もFXに対象を絞った規制になると思われます。ですから、くりっく株などのCFDに資金を回すことで、ポートフォリオを見直すというのも一考の余地があります。考えてみればFXもCFDなのですが、なぜFXだけが狙い撃ちされるのか意味がわかりません。

実際問題、今回の新レバレッジ規制がなかったとしても、現時点で私の資産運用収益の半分以上は「くりっく株365」で得ており、なおかつ資金効率としても9ヶ月経過時点で400%を超えるパフォーマンスと、他を圧倒しています。ですから、ループイフダンは新レバレッジ規制が入るまではある程度アクティブに運用して短期の収益を稼ぎ、規制後は低リスクな米ドル円B100や豪ドル円B80にシフトしていきつつ、くりっく株への投資額を増やしていきたいと思っています。

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ABOUTこの記事をかいた人

FXと節約を組み合わせた記事を書いています。 元会社員、元会社経営者にして元浪費家。現在はフリーランスで生計を立てています。もっと早くお金の正体に気づいておけばよかったな〜などと後悔しながらも、あとの祭り的人生をそれなりに楽しんでいます。