トルコ国民投票
大統領権限を強化する憲法改正に51.4%が賛成
トルコで16日に実施された国民投票で改憲派が51.4%と承認に必要な過半数を得て、エルドアン大統領が勝利宣言しました。最大野党の共和人民党は選挙に不正があったと異議を唱えていますが、大規模な暴動にでも発展しないかぎりは結果が覆ることはないでしょう。
このまま改憲と制度改正が進めば、首相職が廃止されて大統領が国家元首と行政の長を兼ねるほか、多選制限の緩和により、エルドアン大統領が2029年まで大統領を続投することが可能となります。EU欧州委員会は早速「改憲の実行においては可能なかぎり幅広い国民合意を模索するよう求める」として結果を牽制する姿勢を表明しています。
ユーロに影響大?
トルコは経済的にはGDP世界第18位の小国ながら、EU諸国にとっては中東の安全保障や難民問題とも密接に関連するだけに、国民投票の結果が注目されていました。とはいえ、ちょっと過剰反応しすぎじゃないか?と思われますが、欧州人は、今は経済的に小国とはいえ、ロシアとトルコに対する恐怖をいまだに拭うことができていない、という事情があります。
14〜15世紀にかけて、欧州各国はアジアとの交易を拡大したかったものの、陸路は北を経由するとモスクワ公国、南を経由するとオスマン帝国(現在のトルコ)を駆逐せねばならず、当時の欧州各国は、束になってかかってもオスマン帝国一国に勝てる軍事力を持っていませんでした。
そこで、東の陸路が無理なら海路で西を回ろう、ということで15世紀からの大航海時代に突入、15世紀末のアメリカ大陸発見にも繋がったわけです。今のアメリカがあるのは、そもそもの原因をたどると、オスマン帝国の存在があったということもできます。「オスマン帝国=トルコ」かというと厳密には違いますが、そんな経緯もあり、欧州各国は幼児体験として、何となくトルコに対して恐怖感を抱きやすいというメンタリティが形成されているようです。
以上のような理由から、今後のユーロの推移には、実体的な影響以上に反応が出る可能性もあるので、トルコリラトレードをしていない方も、今後のトルコ情勢には注意を払っておく必要があると思います。
欧米主要国はイースターマンデーです
米ドル円
14日金曜日6時からの米ドル円と米10年債利回り15分足です。米10年債利回りは、瞬間とはいえとうとう2.20%まで下がりました。欧米主要国とオセアニアは今日までイースター休暇なので、薄商いが続いています。週末は北朝鮮関連のリスクが拡大して今週開けさらに円高、という懸念もありましたが、ミサイル発射が失敗だったことや、米国にも大きな動きがなかったこともあり、緊張は若干緩和されている状況です。
しかしながら、米ドル円はジリ安で円高が進み、17日午前は、一時108.0円を攻めるかという勢いで下落しました。まあ、ここまで来ると107円も106円もさほど変わらん、くらいの心理状態になりますが、市場全体も似たようなものでないでしょうか。106円以下となると、ほぼトランプラリー前の水準ということになりますから、心理的な節目になりやすいとは思います。
豪ドル円、豪ドル米ドル
14日金曜日6時からの豪ドル円と豪ドル米ドル15分足です。こちらも薄商いで緩慢な値動きですが、やや注目の材料として、17日11:00に中国の四半期GDP等が発表されました。
- 小売売上高・・・前年比+10.9%(予想:前年比+9.7%)
- 1-3月期実質GDP・・・前期比+1.3%、前年比+6.9%(予想:前期比+1.5%、前年比+6.8%)
- 3月鉱工業生産・・・前年比+7.6%(予想:前年比+6.3%)
- 3月固定資産投資(除農村部/年初来)・・・前年比+9.2%(予想は前年比+8.8%)
これを受けて豪ドルはやや買われ、豪ドル米ドルは4月4日以来となる1豪ドル=0.76米ドル台を狙う値動きになっています。こちらも、本格的な影響を見るには明日以降ということになりますが、トレンドとしては豪ドル買いが進むと見て良いと思います。
ループイフダン
ループイフダンは、米ドル円S15のみ4回利食いです。今週も買いの仕掛けは苦戦しそうですね。
北朝鮮関連の安全保障懸念が収束し、米6月利上げが現在の80%以上になってくるタイミングでの巻き返しに期待しつつ、米ドル円ショート中心の裁量トレードでカバーしていく、というスタイルになりそうです。
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