私が「みんなのクレジット」に投資をしなかった3つの理由について。

証券取引等監視委員会による行政処分勧告

ソーシャルレンディングの「みんなのクレジット」に関するニュースが話題です。一部のブログ記事等には、既に同社が行政処分を受けたような記述もありますが、現時点(3月26日)で正確には証券取引等監視委員会から金融庁に対して行政処分するよう勧告されたという事実関係になります。

証取監視委、みんなのクレジットの行政処分を勧告
証券取引等監視委員会は24日、金融商品取引法に基づき、みんなのクレジット(東京・渋谷)を行政処分するよう金融庁に勧告した。同社はインターネットを通じて個人投資家によるベンチャー企業などへの小口融資を仲介する「ソーシャルレンディング」を手掛けている。みんなのクレジットは実際の貸付先が親会社とグループ会社へ集中しているなど、出資者への説明に誤解を招く表記があった。
3月24日/Web版日本経済新聞

証券取引等監視委員会「株式会社みんなのクレジットに対する検査結果に基づく勧告について」

証券取引等監視委員会が指摘した事実から判断すると典型的なポンジ・スキームだったわけで、今から出資しようという人はさすがにいなくなるか、良くても激減するでしょうし、残念ながら既に出資している方は利回りどころか元本の回収も難しいのではないかと思われます。

ポンジ・スキームとは、詐欺の一種で、「出資してもらった資金を運用し、その利益を出資者に(配当金などとして)還元する」などと謳っておきながら、謳っていることとは異なって実際には資金運用を行わず、後から参加させる別の出資者から新たに集めたお金を(やはり運用せず)以前からの出資者に“配当金”などと偽って渡すことで、あたかも資金運用が行われ利益が生まれてそれが配当されているかのように装うもののこと。(Wikipediaを引用)

私も昨年12月4日の段階で、主にポイントサイトでのポイント獲得めあてということもあり「みんなのクレジット」への投資を検討し口座まで開設したのですが、検討の結果見送った経緯があります。

昨年12月に証券取引等監視委員会による検査実施が明るみに出る前の検討だったので、判断材料はそれほど多くなかったのですが、当時なぜみんなのクレジットに投資しなかったかを、「結果論だろう」というご批判を覚悟の上で、備忘録的に振り返ってみたいと思います。

マイナスの材料

1.代表者白石伸生氏の経歴

自分のたいせつなおカネを預けるのですから、代表者の名前をGoogle検索するくらいは必ずしなければならないと思うのですが、白石伸生氏を検索すると、みんなのクレジットに関して好意的にとりあげるインタビュー記事が多数ヒットすると同時に、ネガティブな内容の記事も多数ヒットしました。また、ブログをやっていると、アフィリエイト目的の記事は一瞬でわかりますので、そういった記事は最初から検討材料として除外しました。

同姓同名も少ないであろうお名前なので、この時点で完全にアウトだったのですが、これはソーシャルレンディングという仕組みそのものの瑕疵ではないため、今後のために、自分にとって純粋な投資案件としてはどうか、という検討まではしてみました。

2.投資案件としての「実質利回り」

みんなのクレジットでは、現在も10〜20か月程度で6〜15%程度の利回りをうたう案件が提供されています。この表面利回りの他に、ほぼ常時開催されているプロパーのキャンペーンで、出資額に応じて1〜30万円程度が付与されるので、これも利回りの一部と考えます。さらに、冒頭のとおりポイントサイトでは2万円相当程度のポイントが付与されていたので、これも利回りの一部と考えます。

現在、みんなのクレジットのサイトを見て、一番上にある「第111号不動産ローンファンド」を例にすると、出資は10万円からで期間は20か月、期間中の運用利回り(年利)は8.10%となっています。かりに15万円(ポイントサイトの最低出資額要件)を出資すると、年利1万2150円。これにキャンペーンの1万500円とポイントサイトの2万円の60%相当(12か月÷20か月)を加算して3万450円。

30,450÷150,000=0.203=実質利回り20.3%
約20%の実質利回りですから、資金をあまり運用せず寝かせているようなスタイルだと、魅力的といえば魅力的ですよね。ただ、私としてはこの頃すでにFXを再開しており、ループイフダンの利回りが最低でも30%程度は得られるという見通しができていたところなので、これと比較すると、代表者うんぬん以前に、投資としてあまり魅力的に感じなくなったというのが実際のところです。比較のポイントとしては、
  1. 単純に、ループイフダンの予想利回りが「みんなのクレジット」を上回る。
  2. 出資した資金の流動性。ループイフダンは、最悪含み損の確定さえ覚悟すれば、余剰部分は現金化できるが、「みんなのクレジット」は期間中、元本を現金化できない。
  3. 投資に失敗した場合に、どちらが納得できるか。ループイフダンなら、もし損失を被っても、自分の実力不足と納得できると考えた。
3番目は特に重要で、損失は投資につきものですから、次の投資に繋げるメンタリティを考慮した場合、圧倒的にFXのほうが優位であると判断しました。

3.融資を受ける立場から考えた

ソーシャルレンディングは卸業者のようなものですから、仕入れた資金をそれ以上の利息で貸し出さなければ事業は成り立ちません。つまり、ソーシャルレンディングの資金を借りる企業は、低くとも6〜15%に上乗せされた金利で融資を受けるということになります。多くの中小企業にアドバイザーとして関わる立場として考えた場合に、この低金利というかマイナス金利時代において、保証料等も入れた仕上がりの金利で2%を超えると「高い」という判断とアドバイスをしていますし、金融機関とはこれ以下になるよう交渉します。

例外として、ブリッジファイナンスという場面では高金利でも仕方ないという判断はありますが、それは、企業再建のときに実質無信用状態の企業や経営者に対して、次の融資が確実になっていても一旦旧債務の決済が必要などという場面で数日〜長くて1か月程度の融資を受けるという特殊な場面なので、そのリスクが金利に反映されているものとしては経済合理性がありますし、短期間であれば、実際に支払う金利の「額」としてはそれほど大きくならないため、貸し手借り手相互のメリットが合致するので成立するファイナンスです。

一般企業でこの高金利の融資を受けた場合、企業は事業としてそれ以上で運用しなければならないわけですから、営業利益が10%以下の中小企業がほとんど(参考:経済産業省ウェブサイト)という現状では、やや無理筋であることは明白です。

また、商取引では、大きな取引になる場合に相手企業の試算表や決算書を見せてもらうということもあるのですが、チェックする項目の一つとして、借入金残高と支払利息から、相手の企業がどの程度の利率で融資を受けているかという予測をするのが常です。その結果、10%程度…といいますか、現在なら5%以上の融資を受けていることが判明したら、その時点で取引は避けたほうが無難です。信用状態が悪いから、そういう金利でしか融資が受けられないという判断になるのです。

プラスの材料

逆に、プラスの材料として見ていた部分もありました。

ウェブサイトの見映えが悪い

これは逆じゃないかと思われるかもしれませんが、1985年の大型詐欺事件として有名な「豊田商事」では、ありもしない金(きん)を預かったとする「純金ファミリー契約証券」というものを被害者に手渡していたのですが、これは国債や株券を連想させるような、非常に立派な作りだったといいます。その後も、詐欺といえば見た目は立派または華やかというのが相場で、「ナニワ金融道」でも、「実力がない司法書士を探すには一番派手な看板を出しているところに頼め」という趣旨の表現があったように思います。

まあこれは、ちゃんとした企業も同じように、立派な証書を作り、立派な看板を出しているので判断材料としてはやや弱いのですが、逆に、お世辞にも見映えが良くないウェブサイトの場合は、検討に値する材料となります。私はこれを、好材料として判断していました。つまり、表面的なデザインやイメージではなく、本質を見てほしいというメッセージなのではないかということです。ウェブサイトのような間接費用におカネをかけるのではなく、出資者へのリターンが最優先です、というメッセージなのではないかと深読みしてみたのです。しかし、この仮説は、代表者名をウェブ検索することですぐに崩壊したことは言うまでもありません。

逆張りしたい

生来へそ曲がりな私は、ひとさまが良いというものは悪く、悪いというものは良く考えたいという傾向があります。この性癖は悪いことばかりではなく、世の中一般の「一人あたりの利益」というものは、たいていマイノリティ(少数者)側に多く配分されますので、昨年の時点で批判や疑問視する声もあった「みんなのクレジット」に逆張りで賭けてみようかな?という思いはありました。しかしこの思いも、代表者名のウェブ検索で脆くも崩壊しました。

ソーシャルレンディング全体への期待

ソーシャルレンディングではスタートアップ系の企業が多い中、ちょうどSBIソーシャルレンディングが、事業に再び力を入れ始めていた時期だったので、ソーシャルレンディング全体への信任がやや上がったというのはあります。そこまで大きな収益を生まないであろうソーシャルレンディングで、SBIグループがグループ全体の信用を毀損してまで取り組む経済合理性はないと判断しており、これは現在も継続しています。

前述(ブリッジ・ファイナンス)のとおり、実務としてWin-Winでの高金利ファイナンスというものはありえますので、そういったニッチに対応するサービスとしては、今後もぜひ伸びてほしい業界でもあります。

まとめ

記事として書くと長いのですが、当時、ここまでの検討は30分程度しかかけていないので、実際にはそこまで迷ったというほどのものでもありません。

しかし、こうやってあらためて振り返ってみると、判断の材料として大きかったのは、『2.投資案件としての「実質利回り」』だったように思います。過去の裁量トレードでの失敗から遠ざかっていたFXを再開する大きな動機となったリピート発注(トラリピ、ループイフダン)と、一個人や一企業が恣意的に影響を与えることが不可能で、非常にフェアである外国為替市場というものへの信頼があってこその判断だったと思っています。

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ABOUTこの記事をかいた人

そうたろう

FXと節約を組み合わせた記事を書いています。 元会社員、元会社経営者にして元浪費家。現在、事業の失敗で背負った借金をせっせと返済しながらひっそりとフリーランスで生計を立てています。もっと早くお金の正体に気づいておけばよかったな〜などと後悔しながらも、あとの祭り的人生をそれなりに楽しんでいます。