ふるさと納税の「運用益」
ふるさと納税は、本当におトクなのか?
「ふるさと納税はとにかくおトク!やらなきゃ損!」というような風潮がありますが、実際のところはどうなのでしょう?
この記事では、ふるさと納税を「資産運用」として、その運用効率を考えてみたいと思います。
ふるさと納税とは
いまさら言うまでもありませんが、ふるさと納税は、自治体への寄付金が当該年度の所得から寄付金として控除されるというものです。
控除の対象はほとんど住民税ですから、会社員であれば特別徴収(給与からの天引き)で、ふるさと納税した翌年の6月から翌々年の5月にかけて住民税が減税されることになります。
例えば、今は2018年9月ですから、2019年の6月から2020年の5月分の住民税が安くなる、ということですね。
話を単純化するために、減税となり投資元本が回収できる期間のほぼ中心である2020年1月1日に全額の利益が発生すると仮定して考えてみます。
総務省による返礼品の上限規制
運用で言うと「利益」にあたる、ふるさと納税の返礼品は自治体によって還元率がまちまちです。
今日の報道にもあったとおり、総務省の指導により、2019年4月から、返礼品は寄付額(ふるさと納税額)の3割を上限とする方針を打ち出しているため、過去のものとなりつつある還元率7割・5割に加えて、総務省方針の運用率3割の場合をそれぞれ試算してみました。
ふるさと納税する日 | 運用年利(還元率3割) | 運用年利(還元率5割) | 運用年利(還元率7割) |
---|---|---|---|
1月1日 | 15.00% | 25.0% | 35.0% |
2月1日 | 15.67% | 26.11% | 36.55% |
3月1日 | 16.32% | 27.2% | 38.08% |
4月1日 | 17.11% | 28.52% | 39.92% |
5月1日 | 17.95% | 29.92% | 41.89% |
6月1日 | 18.91% | 31.52% | 44.13% |
7月1日 | 19.95% | 33.24% | 46.54% |
8月1日 | 21.14% | 35.23% | 49.32% |
9月1日 | 22.48% | 37.47% | 52.46% |
10月1日 | 23.96% | 39.93% | 55.91% |
11月1日 | 25.70% | 42.84% | 59.98% |
12月1日 | 27.92% | 46.09% | 64.52% |
12月31日 | 29.92% | 49.86% | 69.81% |
ふるさと納税がおトクかどうかは運用スタイルによって決まる
ふるさと納税がおトクかは「人による」
結局のところ、投資をまったくしない方ならともかく、手元にある資金は必ず運用する、というライフスタイルの方は、対象期間について、ご自分の資産運用「利回り」(この場合複利)と、ふるさと納税の「利率」(こちらは単利)を比較しなければ、おトクかどうかは判断できません。
私の場合、ややリスクを高めに取っており、今年も運用利回り30〜40%程度は確保できそうですから、還元率3割のふるさと納税がおトクかどうかは微妙なところです。
「ポートフォリオの一環であれば」あり得る
しかし、さらに考え方を展開させて、ふるさと納税を分散投資の一部と考えれば、それはそれでアリだと思います。
ふるさと納税による資産運用は確実性があり、少なくとも元本割れリスクはゼロですから、ポートフォリオの一部として考える、ということですね。
運用利益の観点からは、ふるさと納税のタイミングは遅いほうが良い
また、ふるさと納税をする時期についても、1月1日と12月31日では、当然ながら2倍近くの開きが出てくるので、運用利益率を上げたいのなら、なるべく年末を狙うほうが良いと思います。
ただ、年末はふるさと納税の需要が増えて、供給側である返礼品の還元率が平均的に下がることや、あるいは、ほしい返礼品が品切れや締切で、結局不要なものを受け取ってしまい無駄になる、というケースも多いように思います。
試算では「運用利率」としましたが、返礼品は現金ではありませんから、程度の差はあれ、必ず現金より評価が下がるということも忘れてはならないところです。
返礼品は「普段使うもの」「消費期限が長期のもの」
この差額(評価損)を最小限にするためには、返礼品として「ふるさと納税がなくても購入していたであろう必需品」かつ「消費期限がないか、あっても長期のもの」を選ぶことが重要です。
そうなると結局、選ぶべき返礼品は、米や調味料がやっぱり王道になってしまいそうです。
普段食べもしない高級肉などは、ふるさと納税だとついつい選んでしまいそうになりますが、これは意外と高い買い物をしていることになるんですよね。
また、当然ながら、ふるさと納税するときに適用になる各種ポイント還元や、クレジットカードによる還元もうまく活用していきたいところです。
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