ドコモの新データプラン
ドコモは新料金プラン「ベーシックパック・ベーシックシェアパック」を発表し、5月25日からプラン変更受付が開始されます(プラン適用は6月1日から)。基本的にはauの「ピタットプラン」に対抗した従量課金のデータプランで、データ通信をほとんど使わないというユーザーは、料金をかなり抑えられるという建付けになっています。
まずデメリットから
段階的従量制プランということで、少ないデータ量のステップで抑えようとしていたのに、うっかり使いすぎて上位ステップに移行してしまうということが心配になりますが、「ベーシックパック」の場合は残り約200MB、「ベーシックシェアパック」の場合はステップ変動まで残り約1GB到達時にメールでデータ量が通知されるということで、一応の防止策は講じられています。
もう一つのデメリットとして、新プランは旧プラン(データパック・シェアパック)では可能だった、当月余ったデータの翌月繰越しが適用されないことがあげられます。
メリット
まず、家族向けのベーシックシェアパックは料金が引き下げられます。
【ひとり向けプラン】
容量 | ベーシックパック(新) | データパック(旧) | 差額(旧−新) |
---|---|---|---|
1GB | 3,132円 | 設定なし | |
2GB | 設定なし | 3,780円 | |
3GB | 4,320円 | 設定なし | |
5GB | 5,400円 | 5,400円 | 0円 |
20GB | 7,560円 | 6,480円 | −1,080円(値上げ) |
30GB | 設定なし | 8,640円 |
【家族向けプラン】
容量 | ベーシックシェアパック(新) | シェアパック(旧) | 差額(旧−新) |
---|---|---|---|
5GB | 7,020円 | 7,020円 | 0円 |
10GB | 9,720円 | 10,260円 | 540円 |
15GB | 12,960円 | 13,500円 | 540円 |
30GB | 16,200円 | 14,580円 | 1,620円 |
こうして比較してみると、ベーシックシェアパックがプランごと順当に料金が引き下げられているのに対し、ひとり向けのベーシックパックは従来どおりか値上げの意向ということがわかります。ひとり向けについて唯一の救いは、これまで2GBで利用していたユーザーでも、540円を追加で負担することで、3GBまで使えるというくらいでしょうか。
ひとり向け改訂の目玉は通話プランにあり
一見するとひとりユーザー冷遇のようにも感じられますが、ベーシックプランへの変更により、これまでシェアパックユーザー限定だった通話従量課金プランの「シンプルプラン」が選べるのが最大の変更点になります。
ドコモが提示するモデルケースでは、シンプルプランとベーシックパック(1GB)の組み合わせから「docomo with」「ずっとドコモ割プラス」を差し引いて2,678円(税抜2,480円)というものです。
しかし、「docomo with」は対象機種を購入すれば適用になるので良いのですが、「ずっとドコモ割プラス」は利用期間が4年未満ではどうやっても適用になりませんし、料金モデルとして組み込むのは、ちょっと無理があるように思います。ですから、基本的にドコモひとり向け最低料金プランは2,894円(税抜2,600円)と考えるのがフェアかと思います。
旧プランでのひとり向け最低料金は「カケホーダイライト」(1,836円)+「データパック(2GB)」(3,780円)+「spモード」(324円)-「docomo with」(−1,620円)で4,320円だったのと比較すると、カケホではなくデータ容量も半分にはなりますが、たしかに新プランは料金を安く抑えることはできます。
通話従量課金(割高)とデータ1GBのモバイル回線って…
しかし、冷静に考えて、通話料金が30秒20円と割高な従量課金のシンプルプランと、データをたった1GBしか使えないベーシックプランを組み合わせたモバイル回線をわざわざ維持する理由というのは、何かあるのでしょうか?
強いて言えば、ドコモ口座やdカードminiなど、ドコモユーザー限定の決済サービスを利用できるというメリットはあると思います。これらのサービスをうまく利用すれば年間数万円のメリットを受けることも難しくありませんから、ドコモ回線の維持費を、決済サービス利用のための基本料金として考えることはあり得ると思います。
しかし、ひとり向けプランで、スマートフォンを通話とデータ通信で普通に使いたいというユーザーは、やはり格安SIMを選ぶ方にメリットがありそうです。ドコモがここまでやって2,894円というプランと同等のサービスは、MVNOであれば、半額以下の1,300円前後というのが相場です。
参考:価格.com「音声通話可能の格安SIMカード(MVNO)比較・データ1GB」
もちろん、MVNOは時間帯によってデータ通信が遅くなるというデメリットもありますが、いくら通信が速くても、たった1GBしか使えないドコモと比較すると、実際にユーザーがどちらを便利と感じるかは微妙なところです。そしてドコモの場合は、データ利用量が増えると1GBあたりの単価がMVNOに比べてさらに高いこと、さらに今回の新料金では20GBプランが値上げされている点をとっても、ドコモが今回のプランをMVNOへの流出防止策と考えているなら、かなりズレているのではないかな、という感じがしています。
いずれにしても、今回の新プランは、ユーザーにとってのメリットとデメリットが交錯する複雑な内容になっていますから、「新プラン=値下げ」という先入観で飛びつかず、ご自分のケータイ利用状況をよく確認して、慎重にプランを決めることをオススメします。
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