独身男が、今さら電力自由化について考えてみました。

今年の4月から始まった、電力の自由化。昨年の受付開始時こそ「ポイントがたまる」「セット割がきく」など話題になりましたが、自由化から4ヶ月経っても、良いとも悪いとも評判を聞きませんよね。ウェブ検索しても、料金比較サイトばかりヒットして、体験談ブログはそれほど多くありません。その理由について考えてみました。

世間の反応がイマイチなのは「わかりにくさ」と「メリットのショボさ」

いきなり結論を言ってしまうと、私は遅ればせながら今月から大手旅行代理店H.I.S.系列であるHTBエナジーから電力を購入しており、この後述べるような理由から、なかなか満足しています。「労力がかからない節約は即実行」が座右の銘の私としては、ただ切り替えるだけでデメリットもないなら、4月からすぐに切り替えていても良さそうなものでしたが、少し出足が遅れたのには理由があります。
◆◇電気の切替はH.I.S.がオトク! 料金は5%割引◆◇

昨年の段階で、いくつかの比較サイトでシミュレーションしたら全て違う電力会社がおトクと判断されたため、詳細な料金プランは自分で調べて検証しなければならなかったのですが、一方でその効果はと言えば所詮一人暮らしで電気代は年間8万円程度なので、安くなるのは年間でも数百円程度です。それがわかった瞬間に興味が失せてしまい、しばらく放置していたのでした。条件は例えば4人家族でもそれほど変わらず、さしもの節約系主婦でも、このメリットのショボさには萎えたのではないかと思います。

どこかで聞いた2年縛り割引

このメリットのショボさゆえ、新電力各社の契約は思うように伸びなかったのでしょう。そこで出てきたのが、2年縛りによる割引プランです。

こちらのエネジョイズさんの記事に詳しいのですが、料金そのものの割引やキャッシュバックです。途中解約には、「原則として」違約金が課せられます。あれ?どこかで聞いたような…。そうです。ケータイの2年縛りにそっくりですよね。おそらく、au、ソフトバンクというケータイキャリア大手も電力小売に参入していることから、そのノウハウを持ち込み、他社も追従したのでしょう。

エネジョイズさんの記事のとおり、経産省が定めたガイドラインでは、高額な違約金を徴収してはならないよう「推奨」されています。しかし、現に東京電力の「プレミアムプラン」では、

*契約の解約時には、540円(税込)の解約事務手数料を、原則として、申し受けます。最終使用月の電気料金とあわせて請求いたします。
*契約期間満了日から遡った2か月の間以外に解約する場合、原則として、期中解約金、1年契約3,000円(税込)、2年契約5,000円(税込)が発生します。最終使用月の電気料金とあわせて請求いたします。

とされています。事務手数料と合わせて5,540円。ケータイの違約金が10,260円ですから、これと比べても「高額でない」とは言えませんよね。しかも、ごていねいに悪名高きケータイ2年縛りの「解約月のタイミングを逃したらさらに2年更新」まで踏襲しています。この契約を、自由契約に不慣れな旧電力職員や電力の扱いじたいに不慣れな代理店などがきちんとユーザーに説明して、本当の意味での同意をとっているとは到底思えません。おそらく、明らかにリスクをよく理解していないユーザーに対しても、「注意事項を読んでチェックボックスに印をお願いします」のパターンでしょう。

今後、「思ったより電気料金が安くならない」「引っ越したい」などの理由で解約したい、というユーザーが増えたら、このあたりの問題はきっと顕在化するのでしょうね。契約時の手間や時間までを考えると、年間たったの数百円、せいぜい数千円のためのリスクとしては全く見合わないと思います。

閑話休題

さて、このブログは社会問題を糾弾するのが目的ではありませんから、皆さんは「けっこう安くなったり、キャッシュバックがあったりする場合には1〜2年縛りの罠があるよー」くらいの認識でいてもらえばと思います。で、ここからは個人的見解ですが、電気料金の高い安いって、絶対的な価格の問題だけではなく、いつ、どのように料金がかかっているか目に見えにくい、という要素が大きいと思うんです。

だって、あのアナログ感たっぷりの電気メーターが回っているのを見たって、「料金」って感じがしないじゃないですか。月に一回、電力会社から委託を受けたオッチャンがそれを目視して端末に入力、伝票を郵便受けに放り込んでいくというおおよそ21世紀とは思えない業務フローに我々は慣らされているわけです。でも、やっぱりこれっておかしいですよね?

「スマートメーター」の登場

そこで、話題のスマートメーターの登場です。スマートメーターとはウィキペディアによれば、

スマートメーター(英語: smart meter)とは、従来のアナログ式誘導型電力量計と異なり、電力をデジタルで計測し、メーター内に通信機能を持たせた次世代電力量計である。

まあ、普通に21世紀感。オッチャンの失業防止で普及が進まないに違いない。で、電力会社を変えると、無料でスマートメーターに交換してくれます。停電もないので、在宅でも勝手にやってしまうみたいですね。私はたまたま外出していたので真偽のほどはわかりませんが。そして交換から約1ヶ月後、いよいよHTBエナジーからの供給開始。・・・当然、何も起こりません(笑)。まあ、起こってもらっては困りますけどね。

実現した電気料金の可視化

しかし、HTBエナジーでは、ウェブサイトから時間/1日/1か月それぞれの電力使用量がチェックできます。
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24時間表示は、こんな感じです。とくに一人暮らしだと、確かにあの時間はテレビを消していた、夜は電子レンジや電気ポットを使った、などと見に覚えがあるんですよね。当たり前ですけど。少し前から話題の、エアコンはつけっぱなしのほうが電気代が安いというのも、ギャンブルしなくてもこれなら安全に検証できたわけです。(ちなみに私もつけっぱなしです)

私、昨日の朝から自宅を留守にしているのですが、今見るとこんな感じです。エアコンがおよそ常時0.1kWhだということが一目瞭然ですよね。そして、留守なのに使われている0.1kWhは、間違いなく冷蔵庫です。
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これは単純に、見ていて楽しいのです。なんとなく、数日に1回は電力使用量を見る習慣がついてしまいました。ブックマークしておけば、せいぜい30秒ほどの作業ですからね。時間の無駄にもなりません。また、例えば使っていない部屋でうっかりオイルヒーターを消し忘れていたときなど、これを見て気づくことがあるかもしれませんね。私は、この楽しさだけで電気料金が下がらなくても良いと思うくらいです。

HTBエナジーのメリット「シンプル」「違約金の例外」

ケータイのプランもそうなんですけど、わざと複雑にして、ちゃんと理解しようという気持ちを萎えさせるんですよね。電力も同じで、季節とか、深夜電力とか、時間別がどうとか言われてもわからない、というか、そんな一切応用のきかない知識に興味が持てません。あげく、旧電力会社より高くなる可能性もあるとか、もはや意味不明です。その点でHTBエナジーはシンプルで、その主力プランにおいて、旧電力会社から5%安くなる、というわかりやすさが魅力でした。このプランは1年契約で途中解約の場合2,160円の違約金がかかりますが、私の場合はその唯一の懸念が急な引っ越しだったので、

Q2.引越した場合はどうなるの?
A.お引越し先が対象エリアの場合は、契約を継続してご利用いただけます。お引越しの場合は、通常一年未満の解約の場合でも違約金は頂戴しておりません。お引越しの際は、お引越し先の供給地特定番号とご請求書の郵送先のご住所をHTBエナジーまでご連絡くださいますようお願い申し上げます。

これで安心して契約に至りました。さらに、1年経過後の自動更新はあるものの、違約金は8月からひっそりとなくなったようですね。

Q10.契約期間はありますか?違約金はありますか?
A.契約期間はHTBエナジーの電力供給開始の日から1年間です。 1年未満のお客さま都合での解約の場合は、2,000円+消費税の違約金が発生いたします。  1年以上ご利用いただいた場合は契約更新月にかかわらず違約金は頂戴しておりません。(2016/8/1改定)

支払いはクレジットカードかコンビニ払いで、コンビニの場合は1回200円の手数料がかかります。口座振替はありません。常識的に考えて、クレカ一択ですね。旧電力でもクレカ払いをしていた場合は良いのですが、この選択肢の少なさは旧電力会社と比べて若干デメリットと言えるかもしれません。しかしながら、まだ価格.com経由で

キャッシュバックキャンペーンも継続されているようなので、

Web申込みで10分程度という手間を考えれば「まあまあ」ってところだと思います。対象地域の方は、よかったら検討してみてはいかがでしょうか。

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ABOUTこの記事をかいた人

FXと節約を組み合わせた記事を書いています。 元会社員、元会社経営者にして元浪費家。現在はフリーランスで生計を立てています。もっと早くお金の正体に気づいておけばよかったな〜などと後悔しながらも、あとの祭り的人生をそれなりに楽しんでいます。