入居している賃貸住宅は、近隣相場に合わせて家賃減額交渉できます。私の過去の成績は5勝1敗です。

借主の立場は「借地借家法」で強く保護されています

借主保護は、住宅不足時代の名残

賃貸住宅は、現に住んでいるかぎりは借地借家法により借主の地位が非常に強く保護されています。民法では貸主・借主は原則対等のため貸主からの契約解除や契約更新の拒絶も権利として認められており、とくに大正期以降の住宅不足において、事実上の追い出しが横行して借主が住むところに困るケースが急増したため、1921年に「借家法」「借地法」が制定され、賃貸住宅では貸主の一方的な意向による追い出しは事実上不可能になりました。1991年には、明治期からあった「建物保護法」と「借地法」「借家法」の3法を統合した「借地借家法」が施行され、現在に至っています。

借主の権利があまりに強すぎて、いったん入居させて、借地借家法をタテに居座られたら大変だ、ということで貸主が住居を貸したがらないという現象までが生じたため、2000年には、厳格な要件の下に一定期間に限定した賃貸借契約を認める「定期借家(借地)権」が制定されたほどです。とにかくここでは、家賃を滞納しているとか、近所に迷惑をかけまくるとか、建物を破壊するなどの契約違反のほか、「正当事由」と言われる余程のことがないかぎり、借主は追い出されない、ということが重要になります。

ところが現状の日本は完全な住宅供給過剰、つまり住宅あまりです。需給バランスが崩れているのに、住宅不足の借主保護として作られた借地借家法がそのまま改正もされず使われているので、いろいろと市場に歪みが出てくるわけです。詳細は省略しますが、駅チカ新築など人気の物件は家賃が割高になり、交通が不便で建物も古いなどの不人気物件はタダみたいに安くなるという結果をもたらします。

「新築物件」も何年か経てば・・・

まあ、それでもたいていの借主は駅チカ新築に住みたいというのが一般的なので、割高な家賃を払って新築の賃貸マンションに入居します。しかし、何年か住むと、もう「新築」とは言えない物件となり、近隣には本物の新築物件が建ち、しかも家賃もそちらのほうが安い、なんていうことはよくありますよね。

そんなとき、隣の部屋の住人が転出したらしく空室になったので、いくらで貸しているのかと賃貸情報サイトで調べてみると、間取りが同じなのに、なんと自宅より5,000円も安い家賃で貸し出されている!なんてことがあります。そのような場合は、泣き寝入りでもなく、黙って退去するでもなく、ぜひ家賃減額交渉をすべきです。交渉は契約期間中でも可能ですが、タイミングとしては、やはり契約更新の数ヶ月前がやりやすいと思います。

家賃減額交渉の方法

「賃料減額請求」は事実上使えない

借地借家法第32条1項は「賃料減額請求」を定めており、このような場合に借主が家賃の減額を請求できることになっています。しかし、一方的に「隣の家賃が5,000円安くなったから、来月から5,000円差し引いて振込みますね」というのは同3項が「建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは,その請求を受けた者は,減額を正当とする裁判が確定するまでは,相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる」と定めているのでダメです。

賃料減額請求は本来、裁判外でも行使できる権利なのですが、結果的に調停や裁判などの法的手段でしか解決できないことになります。現実的に考えても、家賃の減額って、普通は年間でも数万円ですから、それで裁判上の手続きを経るというのは、借主・貸主ともに経済合理性に欠けるところがあります。

物件オーナー(貸主)との直接交渉

それではどうしたらいいのかと言えば、貸主と直接交渉します。たいていは不動産仲介業者が入居時の賃貸借契約を仲介しており、通常の手続きで言えば仲介業者に減額交渉を依頼することになるのですが、仲介業者は、むしろ借主に退出してもらって、新しい入居者を探すほうが仲介手数料に加え、宅地建物取引業法違反の疑いもある広告費(AD)やバックマージン(B)などが入って儲かるため、利益相反の関係にある交渉をマジメにやるわけがありません

そこで、です。賃貸借契約書には、貸主の住所が記載されていますので、ここに、ただ「家賃を下げてほしい」という内容ではなく、「貸主にもメリットがあるような内容で」書面での交渉をもちかけます。貸主が個人の場合は、資産運用手段として不動産を所有している場合が多く、根本的に不動産そのものに関してはアマチュアですから交渉がしやすいです。貸主が企業の場合は個人より交渉が難しくなりますが、たんに個人が不動産運用会社で物件を所有している場合もありますから、後述のとおり、交渉してみても別にデメリットはありません。

私の成功事例と失敗例

私が過去に使って成功した交渉方法と結果は、

 

  • 退出を考えているが、家賃が5,000円下がるなら入居継続したい。→家賃3,000円下げで決着
  • 現状2年の契約更新のところ、4年契約するので家賃を下げてほしい。→家賃5,000円下げで決着
  • 家賃を1年間前払いするので家賃を下げてほしい。→家賃5,000円下げで決着

逆に失敗例もあり、

  • 家賃を2万円下げてくれるなら入居継続したい。→じゃあ出て行け

失敗例は、経営者時代に借りていた家賃20万円のタワーマンションだったので一般的な事例とは言えませんし、このときも結局、仕事が忙しくなったからとか言い訳をして、入居を継続しました。ちょっと恥ずかしいです。

ここで大事なのは、家賃減額交渉に失敗したからといって、相変わらず貸主から一方的に賃貸借契約の解除や更新の拒否はできませんし、嫌がらせで家賃を上げるなどの措置もできない、ということです。つまり、基本的に、失敗しても失うものがない、完全借主優位の交渉、ということなんですね。記事のタイトルは「5勝1敗」としましたが、その意味では5勝0敗1分け」かもしれません。

物件オーナーが最も恐れるのは「空室」

住宅あまりの昨今、賃貸物件オーナーが最も恐れるのは「空室」です。前の借主が退去して、翌月すぐに次の借主が入居してくれれば良いですが、よほど立地や家賃が魅力的な物件でないかぎりそのようなことは稀ですし、仮にすぐ次が決まった場合でも、仲介業者に多額の手数料・広告費(AD)を支払わねばならず、いずれにしても家賃の数ヶ月から半年分くらいは、あっという間に吹っ飛んでいきます。多少家賃を下げてでも、長く住んでくれる借主というのは、オーナーにとって本当にありがたい存在なのです。

相手の足元を見た交渉というのは感心しませんが、近隣相場までの減額なら、十分にフェアな交渉であると自信を持って良いと思います。住んでいる物件に不満はないのに、割高な家賃が不満で多額の引越し費用までかけて退出するというのは、借主だけでなく、上記のとおり貸主にとっても大きな経済的損失になることが多いのです

一方で、賃貸不動産仲介業者というのは、ごく一部を除けば、業界としてはどうも誠実さに欠けるところがあるので、なにも彼らの利益に貢献する必要はない、というのが私の意見です

賃貸住宅の仲介手数料を払わない方法。不動産仲介業にとって物件のオーナーが「客」、入居者は「商品」です。

2017.02.06

ますます進む日本の住宅あまり、まだまだ割高な新築物件を購入するというのは、「趣味」以外の目的ではオススメできませんから、買うなら中古住宅か、または賃貸住宅に住むということになります。

これだけネット情報が氾濫する現在でも、賃貸住宅を賢く借りるノウハウというのは本当に情報不足ですが、諦めずにいろいろと交渉してみることで、少しでも快適な生活を手に入れたいものです。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

そうたろう

FXと節約を組み合わせた記事を書いています。 元会社員、元会社経営者にして元浪費家。現在、事業の失敗で背負った借金をせっせと返済しながらひっそりとフリーランスで生計を立てています。もっと早くお金の正体に気づいておけばよかったな〜などと後悔しながらも、あとの祭り的人生をそれなりに楽しんでいます。