自己破産する前に「和解」という方法を考えてみましょう。弁護士が自己破産を勧める理由についても。

弁護士の収入について

過払い金返還請求で一財産つくった知り合いの弁護士が、若くして引退するそうです。理由は、弁護士を続けても、過払い以上に稼げる仕事があるとは思えないから。それくらい、弁護士にとって過払い金というのは、大きな収入だったのですね。彼の言うことは正しく、基本的に弁護士という仕事は、儲かるものではありません。え?司法試験って日本一難しい資格なんだから、そんなことないでしょ、と思う方も多いと思いますが、とくに弁護士登録したての弁護士で、年収300万円もない方をたくさん知っています。ベテランになったからといって儲かるかと言うと、原則として自分の時間を切り売りしなければならない仕事なので、仕事量に上限というものがあります。ですから、世間のイメージと違い年収が1千万円以上の弁護士なんて、想像以上に少ないというのが実態です。
一方で責任は非常に重く、さらには公職やプロボノ(無料奉仕)の仕事も多いので、精神的にも肉体的にも非常に激務です。好きじゃなきゃ(使命感ややり甲斐という意味も含めて)やってられないだろう、というのが傍目から見た印象です。年収1千万円なんて、中小企業経営者だったら普通にもらっていますからね。

弁護士試験(司法試験)って

「六法」「丸暗記」という2つの誤解

六法とは憲法、民法、刑法、商法、刑事訴訟法、民事訴訟法のことをいいます。よく「六法丸暗記」と言われますが、丸暗記している弁護士には会ったことがありません。必要がないからです。法律は約2,000もありますし(六法だからといって6ではない)、よく改正されるので、いつでも六法を開いて確認するのが弁護士の基本です。ただ、弁護士は、「こういう法律がある」「こういう改正があった」ということはひと通り抑えており、いわば頭の中にインデックスが入っているのですね。必要なときは、六法を開いて、正確な条文を確認する、ということです。

司法試験は「六法」

日本には約2,000の法律(他にも命令、規則など多数)がありますが、司法試験で問われるのは、基本的に六法を中心とした知識です。では、残りの1,900以上の法律の知識はどうやって身につけるかというと、弁護士が自発的に勉強するのです。弁護士は勉強の好きな方が大多数ですが、3万人以上もいれば、中には勉強が嫌いな方も当然いるわけです。法律でも知らないのですから、ファイナンスのことなんかもっと知らないと考えたほうが良いでしょう
話を過払い金返還に戻すと、一大ムーブメントとなる2005年頃まで、「貸金業規制法」なんていうのはマイナーな法律で、知らなくても、弁護士のほとんどの仕事に支障がなかったわけです。当然、この頃までは弁護士に相談に行くと、「借りたものは返しなさい」「返せなければ自己破産」というのが基本姿勢でした。ところがこの頃から、現在の過払い金返還請求の根拠となる最高裁判決が次々と出され、現在請求されている違法金利はおろか、過去に払ったものや、さらにはとっくに払い終わって今は借金ゼロ、という人まで、過払いなら何でもかんでもおカネが返ってくるという時代が訪れました。

過払い金返還請求は、弁護士にとっては「バブル」そのもの

最高裁判断が出たからといって、貸金業者は基本的に債務者本人からの直接の返還請求には応じていなかったので、代わって弁護士が請求をおこなうことになります。少額であれば司法書士も代理できますが、無資格者が有料でやると、弁護士法違反となり罰則があります。弁護士の独占市場です。請求権には消滅時効があるので、このとき、全ての弁護士が正確に「同業者間での時間制限の取り合いである」ことを認識しました。過払い金返還請求の何が良いかって、弁護士は自分の時間をほとんど使わなくていいんです。過払い金返還請求は、貸金業者との事務的なやりとりで完結することが多いので、ほとんどの「作業」を事務員にやらせ、弁護士は最低1回債務者と面会すれば、職業倫理に反しないという扱いになっているからです。1件ごとの報酬こそ20〜30%とそれほど高額ではありませんが、弁護士としては初めて、数をこなせば「ビジネス」になる仕事として、法律事務所のテレビコマーシャルが貸金業者のCMに代わってバンバン流された、というわけです。もちろん、多くの高い職業倫理観を持つ弁護士は、こういった同業者の節操のない仕事を苦々しく思っていました。

ご理解いただきたいのは、以下の3つです

  1. 弁護士は司法試験に関係する知識以外は自分で勉強している
  2. 弁護士は能力や考え方にかなりのバラつきがある
  3. 弁護士は苦労のわりに儲からない仕事
この条件の下で、すでに過払い金返還請求の消滅時効が来てしまっている、あるいは、そもそもここ10年くらいは合法の借入れしかしていない人が増えています。そこで、弁護士に相談に行って、収入から考えてどう考えても返せない借入れだった場合、「法的処理」つまり、自己破産か民事再生を勧められます。なぜかって、失礼な意味ではなく、弁護士というのは、現状に合わせた最適な法的処理をする仕事なんです。弁護士は、返済可能かどうかを、引き直した後の残金を3〜4年で返せるかという、非常にざっくりした検討しかしないことがほとんどです。本当に返せないのかを判断してほしいならファイナンシャルプランナー、心が病んでいるなら心療内科、人生相談に乗ってほしいなら占い師に相談すべきでしょう。弁護士が、すべてを勘案した最適なアドバイスをしてくれるなどというのは、おおいなる誤解です。

自己破産がその後の人生に与える影響

自己破産のデメリットは限定的といわれますが

ここまでお読みいただいているのは、債務が免責される代わりに、財産や身分に一定の制限を受けることはご存知の方でしょうから説明は省きますが、経済的に行き詰まった多くの方を見てきて、自己破産には向き不向きがあるということは確かだと思っています。現実的には、ごく一部の人以外に自己破産の事実が知られるケースは稀なのですが、「自分で自分がゆるせない」「自信を失ってしまう」「ばれるのが怖い」などの理由で「その後の人生に悪影響が大きい」という方は自己破産には向いていないので、よほど免責される債務が大きくないかぎりは、何とか返していく方法も考えたほうが良いと思います。

「和解交渉」もやはり弁護士

何とか返したい、という決意をしても、交渉相手である貸金業者が長期の分割払いを認めてくれなければ無理ですし、この場合も貸金業者は原則として債務者本人との交渉には応じてくれませんので、やはり弁護士に和解交渉を依頼することになります。めやすとして、長期でも5〜6年程度の分割なら和解に応じる貸金業者が多い(最長で10年というのは見たことがありますが、ケース・バイ・ケースです)ので、それでも返せない金額の場合は、やはり法的処理も検討するしかないでしょう。また、弁護士が交渉して和解した場合、慣習としてその後の利息はゼロになるので、元本だけを考慮してシミュレーションしてください。
和解契約が成立すると、月々の弁済も弁護士事務所に管理を依頼します。弁護士報酬とは別に、毎月1件ごとに手数料がかかります。それらを考慮に入れても、弁護士としてはビジネスとして決してやりたい仕事ではないでしょう。そういったバイアスもあって、多くの弁護士事務所では、手離れが良い法的処理を勧める、というのも現実的にはあるように思います。

弁護士の探し方

和解交渉をしてくれる弁護士の探し方ですが、借金の相談で検索すると過払い系の弁護士事務所ばかりヒットしてしまうので、法律相談ポータルである「街角法律相談所」を使って、「法的処理のメリットは理解したうえで、和解交渉をお願いできる弁護士さんを探しています」という趣旨で相談してみることをオススメします(匿名でOKです)。

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ABOUTこの記事をかいた人

そうたろう

FXと節約を組み合わせた記事を書いています。 元会社員、元会社経営者にして元浪費家。現在、事業の失敗で背負った借金をせっせと返済しながらひっそりとフリーランスで生計を立てています。もっと早くお金の正体に気づいておけばよかったな〜などと後悔しながらも、あとの祭り的人生をそれなりに楽しんでいます。