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豪ドル円は76円台を回復
ほぼ1日で急落前の水準へ
昨日(1月3日)早朝の急落で一時70円台まで下落した豪ドル円ですが、4日12:30時点で、すでに急落前の水準である76円台まで戻りました。
合わせて、豪ドル円の構成通貨ペアである米ドル円と豪ドル米ドルも見てみます。
米ドル円はやや戻りが鈍く、まずは108円台の足場を固めている状況ですが、豪ドル米ドルの戻りが非常に鋭く、強くサポートとして機能していた0.70を昨晩のNY時間序盤に回復、その後はむしろ、急落前を超える水準で推移している状況です。
250万円を溶かした私としては、あらためて、あの急落の一瞬にさえ耐えられれば退場せずに済んだのに・・・と、考えても仕方のない後悔を抱かずにはいられません。
豪ドル米ドルは2009年3月以来の安値
長く0.70が強いサポートになっていた豪ドル米ドルは、急落前に何度か0.69台を試した後、米ドル円の急落に合わせて崩れ落ちるように0.6734まで下落しました。
これは、リーマンショック後の下落からやや値を戻しはじめた、2009年3月以来の安値水準でした。
豪ドル円そのものがフラッシュ・クラッシュの一因か
Bloombergによれば、
また、ナショナルオーストラリア銀行(NAB)の通貨戦略グローバル共同責任者、レイ・アトリル氏は日本の個人投資家の動きもこの日の急変動の背景にあるかもしれないと述べた。「豪ドル・円は日本の個人投資家が活発に取引する通貨の組み合わせの一つ」と語り、アルゴリズムによる取引の影響も恐らくあっただろうとの見方を示した。
という見方もあり、折からの下落でポジションが含み損を抱えて傷んでいた豪ドル円のストップロスに加え、豪ドル米ドルの0.70割れのストップロスも巻き込んで、米ドル円の下落に拍車をかけ、フラッシュ・クラッシュを引き起こしたという可能性があります。
本当にアップルの下方修正が原因か?
多くのメディアが言及しているとおり、アップルの業績見込み下方修正が今回の急落の一つの要因になったことは確かなのでしょうが、それでは昨晩のNY市場でダウが660米ドル下落、今日(4日)の日経平均前引けが512円下落という条件の下、為替全般円売り・米ドル売りのリスクオンに向かっていることへの説明がつきにくいと思います。
相場急落とループイフダン
豪ドル円はループイフダンに向いているのか?
豪ドル円は、その資金効率の良さから、ループイフダンで人気がある通貨ペアの一つですが、今回のような急落を経験して、それに備えるとなると、結局は口座に証拠金として多くの資金を入れておく必要があるため、果たして本来の意味での「資金効率」が良いのかどうか、疑問を持たざるを得ません。
そこで、ループイフダンで選べる全通貨ペアが、今回の急落でどの程度下落したか検証してみました。
(「急落前レート」は7:00時点、「急落後レート」は7:30〜8:00の間の最安値として、下落率の高い順にソートしています。)
順位 | 通貨ペア | 急落前 | 急落後 | 下落幅 | 下落率 |
---|---|---|---|---|---|
1 | TRYJPY | 20.08 | 18.02 | 2.06 | 10.26% |
2 | AUDJPY | 76.03 | 70.62 | 5.41 | 7.12% |
3 | MXNJPY | 5.5285 | 5.2282 | 0.3003 | 5.43% |
4 | NZDJPY | 72.43 | 69.51 | 2.92 | 4.03% |
5 | ZARJPY | 7.4925 | 7.21 | 0.2825 | 3.77% |
6 | GBPJPY | 137.21 | 132.12 | 5.09 | 3.71% |
7 | CADJPY | 80.17 | 77.23 | 2.94 | 3.67% |
8 | AUDUSD | 0.6983 | 0.6734 | 0.0249 | 3.57% |
9 | EURJPY | 123.53 | 119.22 | 4.31 | 3.49% |
10 | USDJPY | 108.87 | 105.09 | 3.78 | 3.47% |
11 | CHFJPY | 109.98 | 106.6 | 3.38 | 3.07% |
12 | AUDNZD | 1.0491 | 1.0273 | 0.0218 | 2.08% |
13 | NZDUSD | 0.6652 | 0.6584 | 0.0068 | 1.02% |
14 | EURUSD | 1.1342 | 1.1292 | 0.005 | 0.44% |
新興国通貨であるトルコリラ円が10%を超えて最大の下落率になったのは理解できますが、豪ドル円は、トルコリラ同様に新興国通貨ペアであるメキシコペソ円や南アランド円を超えて、下落率が2位という結果には驚きです。
NZドルの下落率は低かった
逆に、最も下落率が低い通貨ペアがユーロ米ドルというのは流動性の面からも納得がいきますが、次いで豪ドルと同じオセアニア通貨であるニュージー米ドルの下落率が低く、結果としてニュージードル円の下落が、ほぼ米ドル円と同水準であったことは、注目に値すると思います。
今回レベルの急落を視野に入れてループイフダンを稼働させるなら、豪ドル円 はニュージードル円の2倍近い資金を口座に入れておく必要があるため、資金効率は大きく下がることになります。
売りのループイフダンも有力な選択肢
ループイフダンで選べる通貨ペアは、すべてリスクオフの場面では下落で反応しますから、ループイフダンの「買い」「売り」の方向を「売り」で稼働させることは、急落に対応するための有力な選択肢です。
しかし、ポジションを長期間保有することが多いループイフダンでは、売りポジションのマイナススワップがあまりに大きい通貨ペアを選んでしまうと資金効率が下がるという側面もあるので、売りポジションでスワップがプラス、あるいはゼロになる通貨ペアを選ぶということも検討の余地があります。
売りポジションのスワップがマイナスにならないループイフダンの通貨ペアとしては、「ユーロ円」「スイスフラン円」「豪ドルNZドル」「豪ドル米ドル」「ユーロ米ドル」の5ペアになります。
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売りのループイフダンは急落で爆益を得られる?
売りのループイフダンは、昨日のような急落の場面では大きな利益を出せるのか?というと、答えは残念ながら「NO」です。
私のループイフダン法人口座では、ユーロ円S100も稼働させているのですが、急落時の5分足チャートを見ると、下落時に利食いが1回(本来5,000円の利益が得られるはずが、大きく滑って3,908円)、直後の戻りで新規が1回、かなり時間が経過して戻りでもう1回、という状況でした。

123.50付近から119.22円まで下落しているのですから、本来であれば、新規→利食いが4回できて良い値動きですが、ループイフダンの指値は成行発注なので、昨日のように流動性が失われた場面では、ほとんど約定しないのです。
同じ理由から、ループイフダン豪ドル円の買いも、値動きどおり下落時に新規約定、戻り時に決済していれば大きな利益が得られたところですが、実際にはほとんど約定していませんよね。
ただし、売りのループイフダンであれば、急落が起こっても絶対に大丈夫かと言えばそうではなく、急落からの急激な戻りで次々とポジションを拾ってしまい、含み損が一気に膨らむというパターンもあり得なくはないので、やはり安心はできません。
ループイフダンの弱点
ループイフダンはシンプルかつ優秀なシストレですが、一方でその性質上の宿命として、裁量トレードとは違い、24時間365日ポジションを持っているので、相場が急変すると、必ず影響を受けることになります。
今回の急落でも、スクエア(ノーポジション)にしていた裁量トレーダーが、その運の良さに胸をなでおろすツイートが多数見られましたが、ループイフダンにこれはありません。
残念ながら、確実に影響を受けます。
影響を確実に避ける方法はなく、その確率を下げるか、損失を小さくすることしかできない、ということを再認識したうえで、通貨ペア、方向(売り・買い)、値幅を慎重に選ぶ必要があります。
この記事を読んでくださった皆さまには、決して私と同じ轍を踏むことのないよう、余裕を持った投資で堅実な利益を得ていただきたいと願っています。
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